文献詳細
症例報告
文献概要
抄録:大転子部に発生したサルモネラ菌による骨髄炎の稀な1例を経験した.症例は36歳,男性であり,誘因なく左股関節から大腿部にかけての疼痛,39℃台の発熱が出現した.近医内科で抗生剤の点滴投与を受けたが軽快せず,2週間後当院に紹介となった.初診時,左股関節から大腿部にかけて強い圧痛を認め歩行困難であった.体温は38.5℃.消化器,呼吸器症状は認めなかった.臨床検査上,白血球13,000,C反応性蛋白4.2と感染徴候を認めた.MRI,CTより左大腿骨骨髄炎,大腿外側広筋内膿瘍と診断した.入院当日より抗生剤の点滴投与を行い約3日で発熱は治まったが,疼痛が残存しており,手術を施行した.骨孔を開窓し,内部を十分に掻爬した.組織よりSalmonella tennesseeが検出された.術後2カ月の現在,感染徴候は認めず疼痛も消失した.
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