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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科39巻12号

2004年12月発行

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視座

インターネットの時代における手術手技の伝承と学会発表

著者: 酒井宏哉

ページ範囲:P.1491 - P.1493

 2004年7月9~10日に東京にて日本関節鏡学会の主催で開催された第22回関節鏡セミナー(担当:井上和彦 第30回日本関節鏡学会会長)に講師の1人として参加させていただいた.
 今回の目玉は手術室から会場へ同時中継するライブサージェリーであった.遠く離れた病院で実際にその時に行われている手術が同時中継され,会場のスクリーンに映し出される.映し出される画面は術者の手元であったり関節鏡のモニター画像であったりする.音声も同時に伝えられるので,術者が手を動かしながら話す手術所見や手技についての説明が聞こえるのと同時に,会場からも術者に対してどんどん質問ができる.従来の手術ビデオとの違いは,編集を経ないライブの映像であるため,手術のちょっとしたもたつきもすべてそのまま映し出され,さらに聴衆は単に見ているばかりでなく術者に対して質問もできるという双方向のコミュニケーションが可能であるという点であり,まさに手術室に入って手術を見学しているのにほぼ等しい情報量が得られる.このような斬新な企画を試みた井上先生をはじめご担当の先生方,ならびに見ず知らずの医師も含めた不特定多数の聴衆に,そのままの手技を披露するという計り知れないプレッシャーの中で手術を成功させた術者の先生方にはあらためて敬意を表したい.大成功であった.

誌上シンポジウム 小児大腿骨頚部骨折の治療法とその成績

緒言 フリーアクセス

著者: 宮岡英世

ページ範囲:P.1494 - P.1494

 小児の大腿骨頚部骨折は比較的稀であることから,一般には症例が少なく,その治療法に苦慮することが多い.安易な保存的治療により後に種々の合併症を発生させる危険性が高い骨折の1つであることはまちがいない事実のようであるが,実際にまとまった報告が少なく,また長期にわたる経過観察の報告も少ない.このたび,比較的症例を多く経験し,長期の経過観察ができている施設から報告していただき,誌上シンポジウムを行うこととなった.
 骨折型はDelbet-Colonna分類を使用し,すなわち
 Ⅰ型がtransepiphyseal separation,
 Ⅱ型がtranscervical,
 Ⅲ型がcervicotrochanteric,
 Ⅳ型がintertrochantericと,
 骨折部位により分類し,各々の治療法を述べていただき,その治療成績はRatliffの評価法で評価した.

小児大腿骨頚部骨折の成因と治療成績

著者: 野寄浩司 ,   齋藤知行 ,   稲葉裕 ,   山田広志 ,   河原芳和 ,   町田治郎 ,   奥住成晴

ページ範囲:P.1495 - P.1498

 抄録:小児の大腿骨頚部骨折は稀な骨折である.しかし,骨壊死,骨端線早期閉鎖,内反股,脚長差,偽関節など合併症の発生率が高いと言われている.今回,16年間の小児大腿骨頚部骨折,5例5股の成因および治療法,合併症の発生につき調査した.3股は外傷性であり,2股は病的骨折であった.全例観血的整復固定術を施行し,固定は小児用hip plateを用いた1例以外,2本の螺子固定であった.骨端まで固定したものはなかった.最終経過観察時,骨壊死,骨端線早期閉鎖などは認めず,軽度の内反股を1例に認めた.小児の大腿骨頚部骨折は稀な骨折であり,愛護的かつ速やかな整復を行い骨端までの固定を避けることで,骨壊死,骨端線早期閉鎖などの発生を防止できると考えられた.

小児大腿骨頚部骨折の治療成績

著者: 小宅雄一郎 ,   別府諸兄 ,   石井庄次 ,   松下和彦 ,   青木治人

ページ範囲:P.1499 - P.1503

 抄録:小児大腿骨頚部骨折の8例(男児4例,女児4例)を検討した.骨折型は,Delbet-Colonna分類でⅡ型2例,Ⅲ型2例,Ⅳ型4例であった.治療方法は,牽引療法5例,手術療法2例(cannulated cancellous hip screw:1例,compression hip screw:1例),ギプス固定1例であり,骨癒合は全例で認められた.最終経過観察時の治療成績は,Ratliffの評価法による臨床評価はgood:7例,fair:1例で,X線評価はgood:6例,fair:2例であった.
 MRIによる定期的な経過観察が骨頭壊死の早期発見,圧潰防止につながるものと考える.

小児大腿骨頚部骨折後の大腿骨頭壊死症発生の予防とその治療法

著者: 坂東和弘 ,   中島育昌 ,   萩野哲男 ,   佐藤栄一 ,   前川慎吾 ,   木盛健雄 ,   浜田良機

ページ範囲:P.1505 - P.1511

 抄録:小児大腿骨頚部骨折の治療のポイントの1つは,骨頭壊死の早期発見とcollapse防止である.当院で治療した全11症例のうち2例の骨頭壊死を経験した.1例はcollapseを来し,臨床成績は不良であった.しかしcollapseのない症例とその他の後遺症例は,後遺症のない症例に比べて特に遜色のない成績であった.したがって,たとえ骨頭壊死を発症してもcollapseを防止することが重要であり,そのためには術後の定期的なMRI撮影を行い,少しでも骨頭壊死が疑わしい症例には荷重時期を遅らせる,あるいは長期の免荷を指示するなどの対策が大切と考えている.

小児大腿骨頚部骨折における骨壊死発症因子

著者: 小宮宏一郎 ,   横山一彦 ,   内山勝文 ,   山本豪明 ,   峰原宏昌 ,   高平尚伸 ,   糸満盛憲

ページ範囲:P.1513 - P.1518

 抄録:対象は14例(男児8例,女児6例).受傷時平均年齢は12.5歳(6歳~16歳),平均経過観察期間は2年7カ月(1年~15年)であり,骨折型はDelbet-Colonna分類でType Ⅰ:0例,Type Ⅱ:5例,Type Ⅲ:5例,Type Ⅳ:4例であった.治療は保存的治療を4例に,手術的治療を10例に施行した.Ratliffの評価基準を用いて治療成績を調査し,さらに大腿骨頭壊死を発症した群(以下壊死群)と発症しなかった群(以下非壊死群)の2群間で比較検討した.Good:7例,Fair:4例,Poor:3例であった.大腿骨頭壊死を生じたものは2例(14.3%)であった.受傷時年齢を1~10歳と11~16歳に分けると,それぞれの壊死発生率は,0%(0/5)と22.2%(2/9)であったが,有意差を認めなかった.受傷時X線像上の転位の有無,平均免荷期間には2群間で有意差を認めなかった.骨折型別にみた壊死発生率は,Type Ⅱが40%,Type Ⅲ,Type Ⅳは0%であった.

小児大腿骨頚部骨折の治療成績

著者: 下村哲史 ,   坂巻豊教

ページ範囲:P.1519 - P.1523

 抄録:受傷時年齢が12歳以下の小児の大腿骨頚部骨折24例24股の治療成績を報告した.治療成績は,Ratliffの基準によるgood:14股,fair:6股,poor:4股であった.fairおよびpoorはDelbet-Colonnaの骨折部位分類におけるⅡ型およびⅢ型にのみ存在し,特にⅡ型で不良な成績であった.骨頭壊死の発生には受傷時年齢は関係なく,骨折型,転位の程度との関連が強かった.治療成績を向上させるためには骨頭壊死の発生を減少させることが必要で,可及的早期に正確な整復を行い,必要最小限の内固定を行うことを目標とすべきである.

論述

内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の短・中期成績

著者: 松本守雄 ,   千葉一裕 ,   石井賢 ,   小川祐人 ,   高石官成 ,   中村雅也 ,   戸山芳昭

ページ範囲:P.1525 - P.1530

 抄録:内視鏡下腰椎椎間板摘出術(microendoscopic discectomy,MED)の短・中期治療成績について調査した.症例はMEDを行った腰椎椎間板ヘルニア102例(男性66例,女性36例,平均年齢36歳,平均調査期間1年4カ月;6カ月~4年2カ月)であった.同じ時期に手術を行ったMED 47例とLove法21例の比較検討も行った.全体の平均改善率は81.2±14.9%と良好であったが,初期の10例でopen conversionを余儀なくされた.また,合併症として硬膜損傷3例,有痛性血腫2例,ヘルニア取り残し2例,術後早期再発6例などがみられた.Love法との比較では改善率や満足度に両群間に有意差はなく,術後CPK,CRP,鎮痛剤使用量,復職に要した日数などはMEDで有意に少なかった.
 MEDはいくつかの合併症のリスクがあるものの,手技に習熟すれば低侵襲で,良好な成績が得られる手術法である.

フットポンプは大腿骨頚部骨折術後の下肢腫脹とFDP D-dimerを低減する

著者: 寺島嘉紀 ,   伊藤和生 ,   嘉野真允 ,   濱田一範 ,   松尾真二 ,   鍋田裕樹 ,   高田潤一 ,   山下敏彦

ページ範囲:P.1531 - P.1536

 抄録:大腿骨頚部骨折の周術期において間欠的空気マッサージ(以下,フットポンプ)が深部静脈血栓症の発生予防に有効かどうか,前向き研究を行い検討した.49例の手術患者をフットポンプ使用群と非使用群の2群に無作為に分けて比較した.両群間で性別,年齢,術前臥床期間,骨折型,術式に有意差はなかった.フットポンプは,下肢の腫脹,特に術後7日目の大腿周囲径とFDP D-dimerの増加を有意に抑制した.D-dimer抑制効果は,特にGamma-nail使用患者において顕著であった.フットポンプは大腿骨頚部骨折の周術期において血栓形成の抑制に有用であると考えられた.

連続講座 整形外科領域の再生医療④

骨格筋のtissue engineering

著者: 貴志和生

ページ範囲:P.1537 - P.1542

 抄録:骨格筋の分化,神経筋接合部の形成などについては2次元的な環境下では詳細な研究がなされている.骨格筋のtissue engineeringを成功させるにはすでに研究されている骨格筋細胞,血管内皮細胞,脊髄前角細胞,線維芽細胞との相互作用を基に,3次元環境下でまとめ上げることが大事である.骨格筋を作成するためには,微小循環の形成,細胞の配列,神経支配など他の組織を形成するにあたり必須の技術を必要とする.これらの問題点をクリアすることで他の臓器のtissue engineeringを可能にすることができる可能性がある.

国際学会印象記

「The 15th Korean-Japanese Combined Orthopaedic Symposium」に参加して

著者: 大西量一郎

ページ範囲:P.1544 - P.1545

 2004年6月24日から26日までの3日間にわたり,韓国・済州島においてThe 15th Korean-Japanese Combined Orthopaedic symposiumが開催されました.Korean-Japanese Combined Orthopaedic Symposiumは毎年,日本と韓国とで交代で開催され,両国の整形外科医師の交流が図られ,今年で15回目となります.例年,symposiumに加え,golf tournamentやwelcome reception,official banquet,official tourが設定されており,多数参加者によって大盛況のうちに幕を閉じております.今年は,日本から最も近いとされるリゾート地であり,韓国映画「シュリ」の舞台となった済州島において開催されました.
 筆者は2001年の名古屋より,連続して4回目の参加となりました.英語を母国語としない2カ国の交流学会とはいえ,国際学会でありますので,国内学会とは異なった緊張感があります.筆者の所属する岐阜大学整形外科では,若手の医師が,今後の英文での学会発表や論文執筆に向けての,第一歩も兼ねて積極的に参加しております(やはり韓国で開催される年は非常に人気があります).残念ながら今年は医局主催の地方学会と重なり,参加者は6名にとどまりました.
 6月24日,名古屋空港より釜山経由にて済州島国際空港に降り立ちました.2年前にPhoenix Parkにて開催された年は,日韓共同開催soccer word cupの直後であり,建設されたばかりの仁川空港経由にて韓国入りしましたが,word cup直後の盛り上がりと,近代的な空港のいでたちに圧倒されたことを鮮明に記憶しております.今回はリゾート地ということもあり,2年前とは違ったのんびりとした雰囲気がありました.残念ながら,あいにくの雨で,ホテルまでのバス中,通常みられるはずの美しい海を見ることはできませんでした.それでもgolf tournamentは予定通り行われたようです.

連載 整形外科と蘭學・11

加古良玄と整骨術

著者: 川嶌眞人

ページ範囲:P.1546 - P.1548

 加古良玄は四国,阿波の人で,名は厳,字は将士,通称は良玄,号は藍洲という.父は整骨医で堂号を正骨堂という.その生没や履歴には不明の点が多く,本稿では蒲原宏氏の研究と調査によった.
 文政2年(1819)には自ら行った刑屍解剖所見を基に「解体鍼要」一巻を京都の書店から出版しているくらいであるから,解剖に詳しい医師であった.その序文を書いた幕府医官の多紀元簡によると,人となりは豪放萊落で,意気軒昂,酒に強く,乱れないという人物であったようである.元簡は華岡青洲の乳癌手術と並び称して,良玄の整骨術を「天下六奇の一」として賛辞を贈った.江戸での評判がよかったためか文政3年(1820)の「今世医家人名録」には「本道・外科 下谷長者一丁目 加古良玄」と記されており,江戸に住み続けていたようである.

臨床経験

腰仙部脊髄脂肪髄膜瘤に対する治療経験

著者: 後藤学 ,   松山幸弘 ,   吉原永武 ,   辻太一 ,   酒井義人 ,   中村博司 ,   石黒直樹

ページ範囲:P.1551 - P.1555

 抄録:腰仙部脊髄脂肪髄膜瘤は,癒合不全の椎弓を介して脂肪腫が硬膜欠損部から硬膜内に進展迷入し,脊髄の下端あるいは背側に癒合することにより脊髄係留を呈する疾患である.今回,腰仙部脊髄脂肪髄膜瘤6例(全例男性)に対する治療成績につき検討した.手術時平均年齢は17歳(1~49歳),術後平均経過観察期間は47カ月(4~102カ月)であった.主症状は,起立,歩行障害4例,足部変形5例,排尿障害3例であり,症状出現時期は5歳以下の幼少期4例,成人期2例であった.手術は,可及的脂肪腫切除による脊髄係留解除を行った.術後,起立歩行不能であった1例と,排尿障害を呈していた1例に改善をみたが,足部変形は5例とも残存した.腰仙部脊髄脂肪髄膜瘤の治療では幼少時の予防的手術を推奨する報告も多いが,Chapman分類におけるtransitional typeでは術式,治療時期,手術適応に関して十分な検討を要すものと思われた.

外側型腰椎椎間板ヘルニアに対するMETRx systemを用いたmicrodiscectomy

著者: 藤田拓也 ,   奥田鉄人 ,   細川栄隆 ,   波多野栄重 ,   松本忠美

ページ範囲:P.1557 - P.1562

 抄録:外側型腰椎椎間板ヘルニアに対しMETRx microdiscectomy systemを用いて後外側アプローチからヘルニア摘出を行った12症例の臨床成績を調査し,本術式の有用性について検討した.結果は全例で18mmの皮切にてヘルニア塊を摘出することができた.手術時間は平均1時間48分であり,術中出血量は全例50ml以下と微量であった.全例にて術直後から著明な症状の改善が得られ,JOAスコアは術前平均12.9点が最終経過観察時(平均1年4カ月)では平均26.2点に明らかに改善し,改善率は平均81.7%と良好な結果が得られた.以上より本術式は低侵襲で良好な臨床結果が得られる非常に有用な術式と結論した.

症例報告

両下腿延長中に生じた尖足に対して行ったアキレス腱延長術後,肺塞栓を来した1例

著者: 大野一幸 ,   西村岳洋 ,   樋口周久 ,   清水信幸 ,   吉川秀樹

ページ範囲:P.1563 - P.1567

 抄録:症例は14歳,男児で,偽性軟骨無形成症による低身長に対して,Orthofix創外固定器を用いた両下腿骨延長を行った.術後54日より足関節痛,両尖足のため歩行練習が不能となったため,82日目にWhite法による両アキレス腱延長術を実施した.術直後より頻呼吸,胸痛を訴え,低二酸化炭素血症を伴う低酸素血症,心エコー上肺高血圧,右室負荷,胸部X線上左第2弓の拡大を認め,肺梗塞と診断した.肺造影CTにて血栓は認められなかった.全身状態の悪化はなかったため,酸素投与のみで経過観察したところ延長術後3日で胸痛は消失し,術後7日で歩行再開したが肺塞栓の再発はなかった.一時的な安静により血栓が生じ,アキレス腱延長術を契機に肺塞栓となったものと推定される.これまで低リスクとみなされてきた小児においても,場合によっては肺塞栓が生じることを念頭において対処する必要があると考えられる.

踵骨疲労骨折の1例

著者: 太田進 ,   高松浩一 ,   伊代田一人 ,   牧野光倫 ,   桑原浩彰

ページ範囲:P.1569 - P.1572

 抄録:症例は毎日1日平均10kmのジョギングを続けている27歳,男性.シューズを足底の固いものに替え,2日で40km走った後に左踵の痛みが出現した.初診時X線像では特に異常を指摘できなかったが,骨シンチグラフィーにて左踵骨部に集積の亢進を認め,MRIにてアキレス腱付着部付近より足底に向かい斜めに走る線状像を認め,踵骨疲労骨折と診断した.治療はジョギングの禁止を指示したのみで,約2カ月後にはジョギングを再開でき経過は良好であった.踵骨疲労骨折の診断には骨シンチグラフィーとMRIが有用であった.

第1中手骨に発生した骨巨細胞腫の1例

著者: 菊田一貴 ,   穴澤卯圭 ,   森岡秀夫 ,   三浦圭子 ,   矢部啓夫 ,   戸山芳昭

ページ範囲:P.1573 - P.1577

 抄録:第1中手骨に発生した骨巨細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は17歳,男性.右第1中手骨の腫脹と疼痛を認め,単純X線像で第1中手骨近位部に骨皮質の菲薄化・膨瘤を伴う骨透亮像を認めた.MRIでは骨破壊像および骨外病巣は認めず,掻爬・骨移植術を行った.手足発生の骨巨細胞腫は若年発生例が多く,多中心性の報告も散見される.また,腫瘍の活動性が高く,広範切除例の報告が多いが,自験例は骨外病巣を認めず,掻爬術を行った.術後14カ月で,再発・転移は認めないが,今後も厳重な経過観察が必要と思われる.

足部に広範に発生したtumoral calcinosisの1例

著者: 林克洋 ,   土屋弘行 ,   山本憲男 ,   富田勝郎

ページ範囲:P.1579 - P.1582

 抄録:Tumoral calcinosisは,関節近傍に発生する腫瘤状の石灰沈着症とされ,大関節伸側に好発する.基礎疾患の有無によってprimaryとsecondaryに分けられる.治療は外科的な摘出が最も確実な手段と考えられている.不完全な摘出は再発しやすいため,摘出しやすい時期に全摘するのが望ましい.今回,6歳男児の足部に広範に発症したtumoral calcinosisの1例を経験した.石灰沈着を来すような基礎疾患はなかった.術中所見で,腫瘤は皮下および関節包内にもあったが,全摘しえた.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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