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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科39巻12号

2004年12月発行

文献概要

症例報告

両下腿延長中に生じた尖足に対して行ったアキレス腱延長術後,肺塞栓を来した1例

著者: 大野一幸12 西村岳洋2 樋口周久2 清水信幸2 吉川秀樹2

所属機関: 1大阪大学健康体育部 2大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)

ページ範囲:P.1563 - P.1567

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 抄録:症例は14歳,男児で,偽性軟骨無形成症による低身長に対して,Orthofix創外固定器を用いた両下腿骨延長を行った.術後54日より足関節痛,両尖足のため歩行練習が不能となったため,82日目にWhite法による両アキレス腱延長術を実施した.術直後より頻呼吸,胸痛を訴え,低二酸化炭素血症を伴う低酸素血症,心エコー上肺高血圧,右室負荷,胸部X線上左第2弓の拡大を認め,肺梗塞と診断した.肺造影CTにて血栓は認められなかった.全身状態の悪化はなかったため,酸素投与のみで経過観察したところ延長術後3日で胸痛は消失し,術後7日で歩行再開したが肺塞栓の再発はなかった.一時的な安静により血栓が生じ,アキレス腱延長術を契機に肺塞栓となったものと推定される.これまで低リスクとみなされてきた小児においても,場合によっては肺塞栓が生じることを念頭において対処する必要があると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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