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シンポジウム 手指の関節外骨折
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抄録:著明な変形・短縮・粉砕例,整復不能例,整復位保持困難例,骨癒合に長期の外固定を要し,高度な関節拘縮が危惧される例などに対しては手術療法の適応がある.中手骨骨折に対するキルシュナー鋼線(以下K-wire)固定手術について述べる.中手骨頚部骨折において,掌側部骨皮質の破壊が強く,背側凸変形が強いものは徒手整復ができてもその整復位を保持することが一般に困難である.骨折の徒手整復後に,せっかく損傷のない中手指節関節(以下MP関節)そのものに侵襲を加えない,および骨折部周囲軟部組織に更なる侵襲を加えずに確実な整復位保持が得られる固定法として,中手骨基部から鈍端で,事前に適度な弯曲をつけたK-wireを打ち込む髄内釘固定法が有用と考えている.中手骨骨幹部骨折もよい適応である(斜骨折には短縮予防としてlocking techniqueを追加する).ただし回旋変形を残さないことが重要である.その実際について述べ,また他のK-wire固定法についても言及する.
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