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シンポジウム 手指の関節外骨折
文献概要
抄録:手には多数の腱が関与しており,骨の周囲を腱が走行しているため骨折後に腱との癒着を生じやすい.骨折の治療に当たっては,①MP関節の側副靱帯の短縮による伸展位拘縮,②骨折部での腱との癒着による可動制限,③回旋変形そして④偽関節などの重篤な機能障害を残さないようにしなければならない.今回,われわれが行っている保存的治療を紹介し,診断および治療上の注意点などについて述べた.MP関節屈曲位での早期運動療法(ナックルキャスト)は基節骨や中手骨の骨折に対して適応がある.MP関節屈曲位で整復を保持し,積極的な指の屈伸運動を行わせることによって腱との癒着を防止し,骨癒合や関節可動域の早期獲得ができる方法である.
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