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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科39巻6号

2004年06月発行

文献概要

症例報告

水頭症を合併した頚髄神経鞘腫の1例

著者: 鈴木太郎1 村田英之1 高橋正哲1 山梨晃裕1 長野昭1

所属機関: 1浜松医科大学整形外科教室

ページ範囲:P.879 - P.882

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 抄録:頚髄腫瘍が水頭症の原因であった症例を経験した.症例は81歳,男性.頚部痛で発症し,MRIでC2-3高位に腫瘍性病変を認めた.初診後2週頃より歩行障害,尿失禁,痴呆症状が出現し,急速に進行した.頭部CTにて脳室拡大を認めたため,脊髄腫瘍に合併した水頭症と診断し,腫瘍摘出術を行った.腫瘍の病理学的所見は神経鞘腫であった.術中採取した髄液の蛋白量は286mg/dlであった.術後早期より水頭症の症状は改善し,術後3週の頭部CTでは術前に比べ脳室の縮小がみられた.脊髄腫瘍に合併して水頭症が発症することは脳神経外科や神経内科領域ではよく知られているが,整形外科における認識度は低い.脊髄腫瘍の経過観察中に,本症に特有の痴呆症状や歩行障害が出現した場合,早急に水頭症の検索を行う必要がある.また,水頭症を合併する脊髄腫瘍は,胸腰椎移行部以下での発生が多数を占め,頚髄神経鞘腫の報告は本例を含め6例のみである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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