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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科39巻7号

2004年07月発行

文献概要

症例報告

著明な滑膜炎を合併したvalgus extension overload syndromeの1例

著者: 鶴田大作1 高原政利1 村成幸1 土田浩之1 小山内俊久1 荻野利彦1

所属機関: 1山形大学医学部整形外科

ページ範囲:P.1017 - P.1021

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 抄録:Valgus extension overload syndromeでは,投球時の肘関節外反伸展により後方のインピンジメントが生じ,肘関節後内側に骨軟骨障害や遊離体形成がみられる.今回筆者らは,本症に合併して多数の骨軟骨片と著明な滑膜炎が存在した1例を経験した.症例は16歳,女性のソフトボール選手である.主訴は投球時の右肘関節痛であった.肘関節に腫脹がみられ,伸展-25°,屈曲125°,前腕回内70°,回外70°と制限がみられた.単純X線にて,5個の遊離体を認めた.超音波では滑車の後内側に剝離骨軟骨片を認めた.滑膜切除と剝離骨片切除を行った.病理組織では,滑膜内に多数の軟骨片や骨軟骨片が認められた.術後3カ月の時点で伸展-25°,屈曲130°,前腕回内90°,回外90°に改善,内野手レギュラーとして復帰している.本例では多数の関節内遊離体と著明な滑膜炎が合併し滑膜性軟骨腫症が強く疑われたが,本症に特徴的な軟骨のcloningがなかった.したがって滑膜性軟骨腫症は否定され,著明な滑膜炎を合併したvalgus extension overload syndromeと診断された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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