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視座
新しい専門分科
著者: 天児民和1
所属機関: 1九州大学
ページ範囲:P.413 - P.413
文献購入ページに移動40年前に私が自分の終生の専門を整形外科に決めた時,私の周囲の人達は不安な気持で私を見つめていた.実際,整形外科医として踏み出してみると,専門分科としては未だ社会から認められてはいなかつた.大学でも講座がある所は僅かであるし,総合大学にも講座のない所が多かつた.まして大学以外の病院で整形外科を独立させている所はほとんどなかつた.そこでわれわれ若い整形外科医者はいつも不満をもつていたが,そんな時に神中先生は次のようにいわれた.「1つの臨床専門分科が社会に認められるには,その学問,技術が優れて他の分科のものが真似ができないという段階に達することが必要である.他の分科のものが多少の問題はあつてもこなして行ける間は,なかなか独立した分科として認めてくれない.そこでわれわれは整形外科の学問をより深くし,技術をより高度化して行かなければならない」.
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