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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科40巻10号

2005年10月発行

文献概要

症例報告

下肢固定後に肺塞栓症を生じた外来患者の1例―外来での説明と予防

著者: 西谷江平1 百名克文1 麻田義之1 玉置康之1 栗山新一1

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター整形外科

ページ範囲:P.1173 - P.1176

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 症例は56歳,女性である.既往歴に高脂血症があった.左膝内障の診断の下に,救急外来で左大腿~足部までシーネ固定を受けた.36時間後の外来受診時にシーネを除去された.歩行を開始した直後に肺塞栓症を発症した.直ちに治療を開始し救命しえた.深部静脈血栓症(DVT),肺塞栓症(PE)に対する予防法は,入院患者に対しては確立されつつあるが,外来患者の下肢不動化に対しては,いまだ確立された予防法は存在しない.下肢ギプス固定はDVT,PEの強い危険因子であるが,外来患者においては薬物的予防法の実践は困難であり,理学的予防法のうちでも限られたものを使用することになる.この症例を経験した後,当院ではギプスやシーネ固定時に患者に渡していたギプス障害のパンフレットにDVTの項目を追加し,患者への啓蒙に努めている.早期発見・治療のためには医療従事者が,下肢不働化がDVTのリスクファクターになりえることを理解することが必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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