文献詳細
文献概要
境界領域/知っておきたい
Tumor dormancy therapy(がん休眠療法)の概念と実際
著者: 高橋豊1
所属機関: 1金沢大学がん研究所腫瘍外科
ページ範囲:P.1232 - P.1235
文献購入ページに移動癌を完全に消滅できないならば,次の目標は生存期間の延長であることはいうまでもない.しかし,ここで医学界が誤解したのは,生存期間の延長は,癌を小さくすることからしか得られないということであった.確かに癌を完全に消滅できなくても,ほとんど切除できた場合(肉眼的治癒切除)や,化学療法でかなり縮小できた場合〔(肉眼的完全奏効(CR:complete response)〕は,延命につながっていることはいうまでもない.しかし,どの程度縮小すれば有意義な延命につながるかという根拠も検討されることなく,現在の化学療法ではわずか50%縮小を有効と判定してきた.そのためphaseⅡで成功したレジメがphaseⅢで逆転するという例は枚挙に遑がない.
掲載誌情報