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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科40巻11号

2005年11月発行

文献概要

境界領域/知っておきたい

Tumor dormancy therapy(がん休眠療法)の概念と実際

著者: 高橋豊1

所属機関: 1金沢大学がん研究所腫瘍外科

ページ範囲:P.1232 - P.1235

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 癌治療の目標は教科書を紐解くまでもなく,癌の消滅(すなわち治癒)である.比較的進行度が低い固形癌に対する手術療法や,血液癌に対する化学療法はそれに成功してきた.しかし,遠隔転移を伴う固形癌では,手術と化学療法を駆使しても癌を消滅できない症例がほとんどである.その大きな理由は,固形癌の多くは,化学療法でそれを消滅させることが極めて困難なためである.

 癌を完全に消滅できないならば,次の目標は生存期間の延長であることはいうまでもない.しかし,ここで医学界が誤解したのは,生存期間の延長は,癌を小さくすることからしか得られないということであった.確かに癌を完全に消滅できなくても,ほとんど切除できた場合(肉眼的治癒切除)や,化学療法でかなり縮小できた場合〔(肉眼的完全奏効(CR:complete response)〕は,延命につながっていることはいうまでもない.しかし,どの程度縮小すれば有意義な延命につながるかという根拠も検討されることなく,現在の化学療法ではわずか50%縮小を有効と判定してきた.そのためphaseⅡで成功したレジメがphaseⅢで逆転するという例は枚挙に遑がない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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