文献詳細
誌上シンポジウム 前腕回旋障害の病態と治療
文献概要
骨靱帯標本を用いて前腕骨に掌屈あるいは背屈方向に変形を実験的に作成し,変形の強さと方向により前腕の回旋障害がどの程度起きるかを分析した.次いで臨床例で前腕骨に変形が残った症例の回旋障害の程度を検討した.実験結果と臨床例は比較的よく相関した.すなわち,10°程度の変形ではほとんど回旋障害は起こらず,20°以上の変形では回旋障害が起きる可能性がある.また,掌屈変形でも背屈変形でも回外制限より回内制限が起きやすい傾向があった.この実験結果を参考にすれば,ある程度の前腕回旋障害が予測でき,転位がある前腕骨折の治療法を決定する際に有益と考えられる.
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