文献詳細
文献概要
整形外科/知ってるつもり
自己疼痛管理法(PCA)
著者: 花岡一雄12 小川真12 林田眞和12
所属機関: 1東京大学医学部麻酔学教室 2東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター
ページ範囲:P.184 - P.186
文献購入ページに移動患者が急性痛である術後痛や慢性痛である癌性疼痛などの疼痛によって苦しめられているとき,従来はその旨を医師や看護師に報告し,それから適切な処方を受け,鎮痛効果がもたらされていた.しかしながらその状況では,鎮痛が得られるまでに相当な時間がかかるだけでなく,疼痛程度が高くなると鎮痛効果を得ることが難しくなり,患者はさらに不安感に襲われることになる.これは疼痛をすべての人々が共有することができないために,医療スタッフから事前に疼痛患者の鎮痛処置を施すことが,非常に難しいことによる.当然のことながら,痛みは患者自身のみが知る感覚である.自己疼痛管理法(patient controlled analgesia,PCA)は,それらの問題点を解決すべき方法として考えられた概念である(図1).すなわち,患者が痛みを感じはじめたときに,あるいは,強い痛みを感じたときに患者が自ら鎮痛薬を投与して,鎮痛効果を得る方法である.投与方法としては,静脈内投与,筋肉内投与,皮下投与,硬膜外投与など患者ごとに最適な投与方法を駆使して,予め設定されている鎮痛薬の投与量を,コンピュータ制御機器やディスポーザブルPCAポンプなどを用いて投与する.これにより,患者の満足感が得られ,精神的にも安定するためにより鎮痛効果が得られる.また,過剰投与にならないように投与装置にはロックアウトタイム機構も装着されており,安全性も高い.
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