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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科40巻6号

2005年06月発行

文献概要

論述

高齢者の頚椎症性脊髄症の病態―C4前方すべりの重要性について

著者: 菅尚義1 宮崎昌利1 秋山寛治1 吉田省二1 三原茂1

所属機関: 1菅整形外科病院

ページ範囲:P.653 - P.663

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 高齢者の頚椎症性脊髄症(頚髄症)の病因として,C4前方すべりの重要性についてX線学的に検討した.20~60歳代までの10代ごとに20例,70代は80例,80代は30例,それに70歳以上で手術した28例の計238例につき,椎間の可動域角,椎体のすべり,C5椎体上縁の水平線に対する傾斜角,C1-5間前弯度(頚椎全体C1-7間前弯角に対する,C1-5間前弯角の比)を求め,それぞれの関係を調べた.椎間の可動域角は40代以上では,その最大レベルがC4-5間に移り,70代になるとC4前方すべりの頻度,C5椎体上縁の傾斜角,またC1-5間前弯度が増加してくる.C5傾斜角とC1-5間前弯度の間にはすべての年代で相関が認められた.C5傾斜角とC4前方すべりでは70代においてのみ相関を認め,C4後方すべりとは全年齢で相関は認められなかった.C1-5間前弯度とC4前方すべりの間においても70代にのみ相関が認められ,C4後方すべりとは全年齢で相関は認められなかった.以上の結果から高齢者において,C5-7の可動域角の低下と姿勢の前傾化によってC1-5間前弯度が増加し,頭部が後方へ回転して,C4を前方へすべらせる力として作用していると考えられる.この病態は70歳以上(特に75歳前後)で認められることが多かった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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