文献詳細
文献概要
視座
人は誰でも間違える
著者: 出沢明1
所属機関: 1帝京大学溝口病院整形外科
ページ範囲:P.969 - P.970
文献購入ページに移動「To Err is Human(人は誰でも間違える)」は2000年にアメリカ医学研究院(IOM)から報告された米国の医療事故と防止の報告書(AHRQ Publication 2000)の中で記載され,患者参加の事故防止をリスクマネジメントプロセスの重要項目としている.1992年にユタで,1994年にニューヨーク州で,それぞれ15,000人,30,000人の診療録の調査がなされた.その結果,米国では1年間に44,000人から98,000人が医療事故かその関係で死亡しているという.この数は,747ジャンボジェット機が2日おきに墜落し乗客が全員死亡する数に等しいという.乱暴だが,仮に米国で発生する頻度を日本の医療機関にあてはめると,実に15,000人から34,000人が医療事故で死亡していることになる.これら一連の事故を振り返ると,個人の不注意や知識・技術不足で片付けられがちである.しかし,過密スケジュールの中で,人がエラーを犯した際に,安全な方向へ逃れるシステムを構築する必要がある.そして大きな事故を契機に,病院の医療提供の現場での仕組みや,その新しい手技自身が問題視される傾向にあり,迅速な対応が求められる.
掲載誌情報