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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻1号

2006年01月発行

文献概要

連載 日本の整形外科100年 1

整形外科学導入前夜

著者: 蒲原宏1

所属機関: 1日本歯科大学医の博物館

ページ範囲:P.30 - P.32

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西洋外科への夜明け

 江戸期においてすでに西洋の整形外科的治療法は,18世紀初期にフランスのAmbroise Paré(1510~1590)の『Les(Euvres de M. Ambroise Paré(外科全書)』と,ドイツのJohann Schultes〔Scultetus〕(1595~1645)の『Armamentarium Chirurgicum(外科の兵器庫)』の2冊のオランダ語版を主なる幹とし,若干その他の外科書を参考とした抄訳編集が長崎の通詞外科医らによって行われることで,日本に紹介されはじめた.

 楢林鎮山(栄久・1648~1711)が1706年にまとめた『紅夷外科宗伝』と,西 玄哲(1681~1760)が1735年にまとめた『金瘡跌蹼療治之書』がそれであったが,何れも家伝の秘密の書であった.一族の医師か,特別に許された門人だけに写本が許されるだけで,情報の伝達は遅く,普及の範囲は限られていた.ようやく1767年に京都・伏見の外科医 伊良子光顕(1735~1797)が前記2書と極めて似た内容の『金創秘授 外科訓蒙図彙』を出版したが,普及範囲は限られ,16~17世紀の西洋外科の水準にすぎなかった.

参考文献

1)蒲原 宏:日本の近代整形外科が生れるまで.整形外科13(1号~14号), 1962
2)蒲原 宏:日本整形外科の歴史.日整会誌40:505-525, 1966
3)蒲原 宏:ギプス包帯の発明と日本への伝来.新潟県医師会報5月号.pp1-10, 1978
4)蒲原 宏:日本整形外科前史.整骨・整形外科典籍大系第13巻.オリエント出版社,大阪,1984
5)蒲原 宏:日本へのパレ外科全集骨関節治療の受容についての検討―スクルテタス(Scultetus)外科書Armamentarum chirurgicum)との対比とその影響.日本近代外科の源流,pp51-82,メディカルコア,東京, 1992
6)蒲原 宏:日本における17~18世紀西洋外科の受容.紅夷外科宗伝成立へのドイツScultetus外科書の影響.永井政勝教授退任記念誌.獨協医科大学脳神経外科学教室,pp11-23, 1996
7)蒲原 宏:スクリバ博士の外科学系譜の疑問と訂正.日本医史学会雑誌47:576-77, 2001
8)津山直一:鴎外の整形外科学習(1).整形外科39:115-116, 1988
9)津山直一:鴎外の整形外科学習(2).整形外科39:277-278, 1988
10)津山直一:医学生森林太郎(鴎外)の外科学教科書の書き込みについて.整形外科40:139-140, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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