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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻10号

2006年10月発行

文献概要

症例報告

馬尾ヘルニアを伴った仙骨囊腫の1例

著者: 苅安佐和子1 高橋忍1 尾立征一1 猿橋康雄1 松末吉隆1

所属機関: 1滋賀医科大学整形外科

ページ範囲:P.1127 - P.1132

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 硬膜管終端近傍から仙骨囊腫内にくも膜・馬尾ヘルニアを生じていた1例を報告する.症例は44歳の女性で,症状は坐位にて増悪する会陰部~両大腿後面のしびれと排尿障害であった.MRIにてS2椎体レベルに囊腫像を認め,発症3カ月で手術を施行した.囊腫は左S3神経根膨大部を中心とした傍神経根囊腫であったが,囊腫近位部で硬膜管よりくも膜ヘルニアが囊腫内に形成され,同じS3馬尾が嵌頓していた.囊腫を部分切除・縫縮するとともに,嵌頓した馬尾はくも膜下腔に環納して硬膜を縫縮・パッチした.術後4カ月現在,MRIで再発を認めず,両大腿しびれは5割程度軽減し排尿障害は消失した.以前より存在した囊腫内に馬尾の嵌頓を併発したことが発症の一因となった可能性が推察された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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