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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻11号

2006年11月発行

文献概要

症例報告

大きな髄外病変を伴った胸髄髄内腫瘍の1例

著者: 中山美数1 阿部栄二2 村井肇2 石澤暢浩2 小林孝2 阿部利樹2 若林育子2 白幡毅士2

所属機関: 1陸上自衛隊秋田駐屯地医務室 2秋田組合総合病院

ページ範囲:P.1209 - P.1213

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 髄外病変を伴った胸髄髄内腫瘍(capillary hemangioma)の稀な1例を経験した.主訴は腰・両下肢のしびれと痙性麻痺による歩行障害であった.MRIではTh8レベルにT1強調像で等信号,ガドリニウムで均一に増強される雪だるま状病変を認めた.またT2強調像では脊髄の腫大と広範な髄内高信号病変を認めた.ミエロおよびミエロCTでは同部位での完全ブロックと脊髄腫大像,右側偏位を認めた.手術所見では,硬膜切開すると白濁したくも膜内にかなり大きな多房性髄外腫瘍を認めたが,髄内との交通は明らかでなかった.髄外腫瘍全摘後,脊髄は急速に膨張し軟膜直下に暗赤色の腫瘍が認められた.後正中部で脊髄を縦割して,栄養動脈を凝固切離しながら剝離し,一塊として摘出した.術後病理診断では毛細血管性血管腫であった.髄内病変の診断は難しく,一見,髄外腫瘍の画像所見を示すので注意は必要である.MRIによる血管系髄内腫瘍の鑑別診断は可能と思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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