臨床整形外科41巻11号

2006年11月発行

症例報告

高位脱臼股に発生した色素性絨毛結節性滑膜炎の1例

著者： 森口尚生¹ 高平尚伸¹ 宮部基¹ 東計¹ 峰原宏昌¹ 駒田朋秀¹ 大川孝¹ 糸満盛憲¹

所属機関： ¹北里大学医学部整形外科

ページ範囲：P.1215 - P.1219

　今回われわれは，股関節に発生した色素性絨毛結節性滑膜炎（以下PVS）の1例を経験したので報告する．症例は51歳の女性で，近医で左股関節高位脱臼と診断され当科へ入院した．入院時，左股関節の違和感，脚長差およびTrendelenburg徴候を認めた．手術は1989年に報告された祖父江式に従い，二期的人工股関節置換術を行った．術中，ブドウの房状の増生した滑膜がみられ，病理所見でPVSと診断した．今回われわれは股関節に発生したPVSに対し，滑膜切除術と祖父江式人工股関節置換術を行い良好な結果を得ている．

参考文献

1）Gaubart J：Les synovites villonodulaires hemopigmentees des grosses articulations. Revue de Chirurgie Orthopedique 60：265-268, 1973

2）廣畑和志：色素性絨毛性結節性滑膜炎と滑液包炎．整形外科29：707-713，1978

3）廣畑和志：色素性絨毛性結節性滑膜炎および滑液包炎について．関節外科4（4）：67-75，1985

4）Johansson JE, Ajjoub S, Coughlin LP, et al：Pigmented villonodular synovitis of joints. Clin Orthop 163：159-166, 1982

5）Moroni A, Innao V, Picci P：Pigmented villonodular synovitis of the hip. Study of 9 cases. Ital J Orthop Traumatol 9：331-337, 1983

6）祖父江牟婁人，堂前洋一郎，徳永邦彦・他：脱臼性股関節症に対する人工関節置換術の経験．Hip Joint 15：267-274，1989

7）祖父江牟婁人：成人脱臼股に対する原臼・大腿骨拡大による全置換術の有用性．関節外科15：1151-1158，1996