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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻12号

2006年12月発行

文献概要

誌上シンポジウム 肘不安定症の病態と治療

肘内側側副靱帯の機能解剖

著者: 小林明正1 二見俊郎1 森口尚生1

所属機関: 1北里大学東病院整形外科

ページ範囲:P.1247 - P.1250

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 われわれは,医学生解剖実習用に供された日本人屍体の21肘を試料とし,肘内側側副靱帯の前斜靱帯(AOL),後斜靱帯(POL)および斜走線維(OF)の機能解剖を行った.年齢は77~98歳(平均86歳),男12肘,女9肘,右10肘,左11肘であった.AOLは全肘に存在した.走行形態は上腕骨内上顆基部前面から尺骨鉤状突起部内側前縁に付着する,比較的強靱な単一の索状線維束な組織として観察された.靱帯中央部での平均幅10.0mm,平均厚さ2.5mmであった.POLは全肘に存在し,走行は上腕骨内上顆基部側面でAOL付着部内側から起始し尺骨鉤状突起部内側後縁に停止する扇状を呈していた.その形態には個体差を認め,単一の線維束として観察されたもの15肘,2~3本の線維束のもの4肘,細かな線維束の集合体のもの2肘であった.靱帯中央部での平均幅9.7mm,平均厚さは1.9mmであった.OFはその存在が確認されたもの16肘であった.その走行はPOL尺骨付着部の外側付近から起始し,AOL尺骨付着部の内側付近に付着していた.

参考文献

1)青木晴彦,二見俊郎,小林明正・他:カニクイザルの肘内側側副靱帯の形態観察―ヒトとの比較において.日肘会誌1:39-40, 1994
2)藤田 正,二見俊郎,青木晴彦・他:非接触型三次元変位解析装置を用いた肘関節運動解析(第二報).日肘会誌4:163-164, 1997
3)飛騨 進,内西兼一郎,伊藤恵康:肘関節の軟部支持組織と機能解剖.関節外科9:299-305, 1990
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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