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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻12号

2006年12月発行

文献概要

誌上シンポジウム 肘不安定症の病態と治療

外側側副靱帯損傷―新鮮例の治療

著者: 今谷潤也1

所属機関: 1岡山済生会総合病院整形外科

ページ範囲:P.1267 - P.1272

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 1991年にO'Driscollらによって肘関節後外側回旋不安定症(以下PLRI)の概念が報告されて以来,外側側副靱帯(LCL)の重要性が再認識されてきている.筆者は1997年にPLRIを呈したLCL損傷新鮮症例の詳細を初めて報告して以来,本不安定症に注目し治療を行ってきた.本稿では当科における新鮮肘不安定症症例の各靱帯の損傷状態を検討するとともに,外側靱帯損傷新鮮例の治療経験からPLRIの発生病態および治療方針について述べる.対象は当科で新鮮肘不安定症として加療された症例89例である.この中でLCL損傷を認めた症例は49例であり,このうちPLRIを呈した症例は10例であった.10例中8例(80%)の症例が内反肘もしくは生理的外反が失われた肘関節に発生していた.最終成績では手術症例で日整会肘関節機能評価法で平均97点とおおむね良好で,不安定性もなくPLRIテストも全例で陰性化していた.術前に損傷状態を正確に把握し,高度に損傷された症例では外側靱帯複合体を確実に修復し早期リハビリテーションを行うことが大切である.

参考文献

1)Imatani J, Hashizume H, Ogura T, et al:Acute posterolateral rotatory subluxation of the elbow joint. Am J Sports Med 25:77-80, 1997
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3)今谷潤也,守都義明,小倉 丘・他:肘内側靱帯損傷例の関節造影・ストレス検査所見と損傷形態.日肘研誌7:29-30, 2000
4)今谷潤也:関節不安定性と靱帯再建―肘関節後外側回旋不安定症の病態および診断・治療―.別冊整形外科No. 46:28-37, 2004
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7)O'Driscoll SW, Morrey BF:Posterolateral rotatory instability of the elbow. J Bone Joint Surg Am 73:440-446, 1991
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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