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Toll-like Receptor
著者: 高木理彰1 高窪祐弥1 玉木康信1
所属機関: 1山形大学医学部代謝再生統御学講座運動機能再建・回復学分野(整形外科学)
ページ範囲:P.1296 - P.1298
文献購入ページに移動哺乳類のTLRは病原体由来の種を超えて保存された抗原を認識して宿主の自然免疫応答を誘導する1).現在,哺乳類では13種類のTLRが報告され,樹状細胞(dendritic cell:DC)やマクロファージなどの自然免疫系の細胞に発現するとされる11).TLRの細胞表面や小胞体の膜外領域にはロイシンに富んだ塩基配列の繰り返し部分があり病原体などの分子パターンを認識している.また細胞内領域にはインターロイキン(IL)-1受容体の細胞内領域と相同性の高い領域を有し,Toll/IL-1 receptor(TIR)ドメインと呼ばれている.現在,TIRドメインを有する5種類のアダプター分子,MyD88,TIRAP,TRIF,TRAM,SARMが知られている.その下流のシグナル伝達経路もIL-1受容体と同様の分子によって担われることが知られ,TLRは様々な微生物の特異的な構成成分を認識して細胞内シグナル伝達経路を活性化する.TLRにより開始されるシグナル伝達はcaspase-1の活性化によるIL-1β,IL-18の産生,NF-κBの活性化に伴うTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカイン産生,さらにIRF(interferon regulatory factor)の活性化によってもたらされるⅠ型IFNの産生を誘導する(図1).このような反応はナチュラルキラー細胞やマクロファージの活性化を誘導して自己免疫応答を増強する.同時にⅠ型IFNの産生によって誘導される遺伝子群のなかの補助刺激分子CD80,CD86,CD40やIP-10などのケモカインリガンドの発現を誘導して引き続く獲得免疫応答にも影響する2).
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