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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻2号

2006年02月発行

文献概要

誌上シンポジウム de Quervain病の治療

de Quervain病の診断―徒手診断法の有用性

著者: 麻生邦一1

所属機関: 1麻生整形外科クリニック

ページ範囲:P.103 - P.108

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 de Quervain病の診断は決して困難ではない.これまでいろいろな徒手診断法が開発され,臨床応用されてきているが,原著と異なった,誤まった手技が用いられ,混乱している.原法に則った正しい手技を紹介し,そのテストの有用性を調査した.自験例85手を対象として,診断テストとして代表的なEichhoffテスト,Finkelsteinテスト,野末テスト,麻生テストを挙げ,それらの陽性率,誘発された疼痛の強さの比較,隔壁との関連,予後との関連について調べた.Eichhoffテスト,麻生テストは,陽性率100%,野末テストは73%,Finkelsteinテストは44%であった.テストにより誘発された疼痛の強さをランクづけすると,1位がEichhoffテスト,2位が麻生テスト,3位が野末テスト,4位がFinkelsteinテストとなり,Eichhoffテストが最も鋭敏であった.テストにより,隔壁の有無を知ることは困難であった.予後を示唆する明確なテストはなかったが,短母指伸筋腱(EPB)腱鞘炎を反映する麻生テストで,疼痛度が1位になるくらい強い症例に予後が悪い傾向にあった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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