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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻2号

2006年02月発行

文献概要

誌上シンポジウム de Quervain病の治療

de Quervain病における保存的治療

著者: 堀内行雄1

所属機関: 1川崎市立川崎病院整形外科

ページ範囲:P.115 - P.121

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 de Quervain(ドケルバン)病は,診断がつきやすく手術も比較的容易なことから,完治させるために手術が行われてきた.手術は本症を短期間に確実に治癒させるために重要なものであるが,いまだに術後の遺残症状に悩む症例が散見される.最近では本疾患にトリアムシノロンを用いた腱鞘内注射を行うことで,手術が激減している.今回,2001年9月から2年6カ月間に当院外来で本症と診断し,ケナコルト-A 5mgと1%キシロカイン0.5mlの腱鞘内注射後1年間以上経過した97例100手に対し注射の有効性と有効期間を検討した.注射は全例有効であったが,有効期間は1年以上43%,6カ月以上1年未満24%,3カ月以上6カ月未満28%,3カ月未満5%であった.半数以上が1年以内に再発したが,再発した例のほとんどが再度注射を希望した.注射する際のコツは,伸筋腱第1区画に隔壁があるものとして主にEPB(短母指伸筋)腱腱鞘内に注入することを心がけることである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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