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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻3号

2006年03月発行

文献概要

症例報告

成人の低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets:XLH)に対する脚延長の1例

著者: 菅野伸樹1 菊地臣一1 紺野慎一1

所属機関: 1福島県立医科大学整形外科

ページ範囲:P.301 - P.305

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 低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets:XLH)に対する脚延長は,日本ではいまだ報告されていない.今回われわれは,XLH未治療の成人女性に対し,脚延長術を施行したので報告する.症例は26歳の女性で主訴は低身長であった.延長法はOrthofix脚延長器を用いた,仮骨延長法(De Bastiani法)を適用した.延長距離は右大腿骨45mm,右けい骨24mm,左大腿骨40mm,左けい骨13mmであった.しかし,右けい骨で仮骨骨折,左大腿骨では25°の内反変形,左けい骨ではピン刺入部の感染症を合併した.長期的な経過観察と多くの症例を検討することにより,XLHに対する脚延長の治療法の改善が必要であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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