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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻4号

2006年04月発行

文献概要

特集 脊椎脊髄病学 最近の進歩 2006(第34回日本脊椎脊髄病学会より)

非骨傷性頚損に対する急性期除圧術の効果―多施設前向き無作為共同研究の結果

著者: 植田尊善1 河野修1

所属機関: 1総合せき損センター整形外科

ページ範囲:P.467 - P.472

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 全国11病院において,非骨傷性の頚髄損傷(頚損)に対する除圧術の麻痺改善効果について,無作為前向き研究を行った.対象は受傷後14日以内に共同研究病院に入院できた非骨傷性頚損例で,年齢は30~75歳,麻痺は入院時Frankel BあるいはC,MRIにて損傷部の脊髄圧迫率20%以上とした.受傷日が奇数日であれば手術的治療,偶数日であれば保存的治療が行われた.麻痺評価方法として,改良Frankel分類(総合せき損センター式)とASIA運動スコアを用い,経時的に受傷後1年まで追跡した.登録された総数は203例あったが,除外項目を厳密に適応すると,手術治療群が17例,保存治療群が17例で,脊髄圧迫率が20%以下で除外された圧迫軽度群が20例,その他除外群が149例であった.手術群17例では受傷後平均9.5日で除圧手術が行われた(後方除圧16例,前方除圧1例).受傷後の経時的麻痺観察の結果では,手術群,保存群,圧迫軽度群,いずれにおいても麻痺の回復に有意な差を認めなかった.

参考文献

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3)水野順一,中川 洋,井上辰志・他:骨傷のない頚髄損傷.手術的療法の立場から.脊椎脊髄16:375-380,2003
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8)植田尊善:非骨傷性頚髄損傷―急性期の病態,治療.日獨医報45:301-315,2000
9)植田尊善,芝 啓一郎:頚髄損傷;急性期の対応と予後.日脊会誌12:389-417,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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