臨床整形外科41巻5号

2006年05月発行

臨床経験

糖尿病を合併した圧迫性頚髄症例に対する脊柱管拡大術の成績

著者： 磯見卓¹ 笹生豊² 浜辺正樹² 三浦竹彦² 糸重毅² 清水弘之¹ 青木治人² 別府諸兄²

所属機関： ¹聖マリアンナ医科大学東横病院整形外科 ²聖マリアンナ医科大学整形外科学

ページ範囲：P.591 - P.595

　糖尿病（以下DM）を合併症に持つ圧迫性脊髄症患者14例に対する脊柱管拡大術の治療成績について27例の非合併例と比較検討した．JOA改善率に両者間で有意差はなかったが，経過観察時のJOAスコア平均値はDM群で有意に低かった．DM群では下肢知覚障害の改善が悪く，特に下肢反射の低下，消失症例で劣っており，原因としてDM神経障害の合併が推察された．罹病期間，術前HbA1c値は臨床経過に影響していなかった．

参考文献

1）馬場正之：ポリニューロパチー鑑別すべき疾患とそのポイント．糖尿病と血管4：48-55, 1999

2）Kawaguchi Y, Mastui H, Ishihara H, et al：Surgical outcome of cervical expansive laminoplasty in patients with diabetes mellitus. Spine 25：551-555, 2000

3）松岡健平，堀田　饒，八木橋操六：糖尿病神経障害―ポリオール代謝と最近の進歩．現代医療社，東京，pp45-55, 2001

4）水野勝則，林　正岳，勝尾信一・他：頚椎症性脊髄症の診断遅延例の検討．中部整災誌46：7-8, 2003

5）中川幸洋，玉置哲也，吉田宗人・他：高齢者頚髄症（70歳以上）に対する脊柱管拡大術の術後成績不良因子についての検討．臨整外37：423-427, 2002

6）岡田基宏，吉田宗人，川上　守・他：糖尿病が頚部脊髄症に与える影響．日脊会誌16：229, 2005

7）Saito T, Fujisawa R, Ichioka N, et al：Clinical characteristics of cervical myelopathy complicated with diabetic neuropathy.（会）日脊会誌16：7, 2005

8）八木橋操六：臨床医のための糖尿病病理．診断と治療社，東京，pp102-132, 2004