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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻5号

2006年05月発行

文献概要

症例報告

大腿骨内側顆から外側顆へと移動した膝関節区域性移動性骨萎縮症の1例

著者: 佐藤光太朗12 三木治夫1 嶋村正3

所属機関: 1岩手県立大船渡病院整形外科 2岩手県立胆沢病院整形外科 3岩手医科大学整形外科

ページ範囲:P.613 - P.617

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 一過性骨萎縮症は数カ月で治癒するself-limitedな疾患である.他関節に病変部位が移動するものは区域性移動性骨萎縮症と呼ばれる.今回われわれは膝関節の大腿骨内顆に発生し病変が外顆へ移動した区域性移動性骨萎縮症を経験した.症例は50歳,男性.階段を降下中に外傷なく右膝痛が出現した.単純X線像において大腿骨内顆に骨萎縮像,MRIにおいて大腿骨内顆にT1強調像で低輝度,T2強調像でやや高輝度の領域を認めた.下肢免荷装具と消炎鎮痛薬を処方して経過観察を行った.2カ月後,内顆の圧痛は消失したが外顆に圧痛を認めた.MRIでは内顆の輝度変化はほぼ消失していたが,外顆にT1強調像で低輝度,脂肪抑制像で高輝度の領域を認めた.8カ月後のMRIでは輝度変化は消失し,単純X線でも骨萎縮像は消失した.骨萎縮症は保存治療で治癒する疾患であるが,区域性移動性骨萎縮症へ移行することもあるため慎重な観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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