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医療事故と合併症の区別
著者: 浜田良機1
所属機関: 1山梨大学大学院・医学工学総合研究部整形外科
ページ範囲:P.633 - P.635
文献購入ページに移動このように医学的立場からみて明らかに合併症と考えられる出来事が訴訟に至るには,いくつかの要因が考えられる.その1つは,国民の医療への不信感をあおるような一部マスコミによる医療事故報道や,完全に払拭されたとはいえない一部の医療サイドの隠蔽体質や,明らかな過失があるにもかかわらず合併症として言い逃れするような対応などが考えられる.それに加えて,患者からの苦情に対して,そのかかわりの煩わしさから,要求に安易に妥協する医療側の態度が,患者となる国民のごく一部ではあっても,医療に対する苦情がお金になると考える輩の出現を助長していることが第二の要因である.第三の要因としては,医療現場では医療行為に伴って発症した予期せぬ出来事に対して「合併症」,「偶発症」,「医療事故」,「医療過誤」など様々な言葉が使用されているが,これらの言葉の意味を明確に区別して使用している医療関係者が少ないことと,一般の国民にその区分についての情報が発信されていないことが考えられる.その結果,あきらかに「合併症」とされるべき出来事でも「医療事故」として扱われる傾向が顕著となっている.もしそれらの言葉の意味の明確な区別について,医療関係者,マスコミも含めた国民,さらには弁護士,裁判官の間に統一した見解が存在すれば,不必要な医療に関するトラブルの防止や裁判にいたる件数の減少,さらには裁判の長期化を避けることができると考えている.
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