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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻6号

2006年06月発行

文献概要

臨床経験

深部静脈血栓症の予防処置後に発症した術後肺梗塞の検討

著者: 植松義直1 及川久之1 佐藤賢治1 桑原正彦1 山本亨1 村中秀行1 入内島崇紀1 谷口眞1 浅井亨1 山崎亮一2 塚本剛志2

所属機関: 1川口市立医療センター整形外科 2川口市立医療センター救命救急センター

ページ範囲:P.661 - P.667

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 当院では,術後肺塞栓症の発生を抑えるため,2004年度版肺梗塞予防ガイドラインを参考に,深部静脈血栓症の予防を中心に管理している.そこで今回は,術後深部静脈血栓症の予防処置後に発症した術後肺梗塞発生例9例を対象とし検討した.ガイドラインによる予防対策は一様の効果があり,変性疾患に対しては特に有効であるが,外傷例についてはガイドラインを利用しても予防困難な症例が存在した.術後深部静脈血栓症,術後肺梗塞に対しては,特に第1病日の対応が大切で,第3病日までは慎重に管理する必要があった.術前リスクファクターとしては,複数回手術歴が重要であった.外傷例では直達牽引例は術前深部静脈血栓症の発生に十分注意する必要があった.

参考文献

1)阿部靖之,岡嶋啓一郎,中野哲雄:大腿骨近位部骨折における肺血栓塞栓症の危険因子とその予防.臨整外38:619-625, 2003
2)Colman RW:Hemostasis and Thronbosis:Basic Principles and Clinical Practic, 3rd ed, JB Lippincott, Philadelphia, 1297-1320, 1994
3)藤田 悟,冨士武士,三井忠志・他:股関節または膝関節全置換術後における深部静脈血栓症及び肺塞栓症の発生頻度―予見的多施設共同研究.整形外科51:745-749, 2000
4)肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓症)予防ガイドライン作成委員会:肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓症)予防ガイドライン,メディカル フロント インターナショナル リミテッド,東京,2004
5)松本興治,広瀬 一,林 勝智・他:術後深部静脈血栓症に関する研究.静脈学5:163-170, 1994
6)施 徳全,後藤啓広,長谷川正裕・他:術後無症候性深部静脈血栓症の発生頻度および肺塞栓症との関係.臨整外40:239-245, 2005
7)施 徳全,後藤啓広,長谷川正裕・他:術後下肢深部静脈血栓症における超音波検査法の診断精度と意義.整形外科56:249-255, 2005
8)塩田直史:整形外科におけるDVTの病態と診断方法.MB Orthop 18(3):12-16, 2005
9)Virchow R:Gesammelte Abhandlungen zur Wissenschafilichen Medizin, Meidinger Sohn, Frankfult, 1856

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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