icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻7号

2006年07月発行

文献概要

誌上シンポジウム 運動器リハビリテーションの効果

運動器障害に対する物理療法の現況―過去・現在・未来

著者: 川村次郎1 林義孝2 北川大介1 寺倉誠二3

所属機関: 1日下病院 2大阪府立大学総合リハビリテーション学部 3株式会社ベクトロニクス

ページ範囲:P.773 - P.778

文献購入ページに移動
 物理療法は皮膚表面を介して熱,電気,光,音,力などの物理的刺激を加え,慢性疾患の治療や症状の緩和を図ろうとする治療法である.取り扱いやすい,安全性が高い,患者のコンプライアンスがよいという特徴があり,整形外科の外来においては,主として鎮痛を目的に現在もよく使用されている.しかし十分な科学的根拠に基づいて実施されているとは言い難く,その治療効果の判定についても科学的な批判に耐える評価法が求められているのが現実である.一方,最近のバイオメカニクス研究や分子生物学の進歩によって物理療法の作用機序は次第に明らかにされ,平行して新しい刺激装置の開発と臨床応用が進行している.最近開発される多くの物理的刺激法に共通する特徴は,その刺激強度が従来よりはるかに微弱でありながら,確かな生物学的な効果を示すことであり,臨床的にも確かで安全な新しい物理療法が生まれつつある.従来の物理療法と新しい物理療法を視野に入れると,これからの選択肢は,①微弱刺激による鎮痛作用,②微弱刺激による組織修復作用,③温泉療法や従来型物理療法による心理的作用の3つの方向性が考えられ,進歩を加速するためには職種や領域を越えた集学的な取り組みが必要であろう.

参考文献

1)赤居正美:物理療法の最近の動向.リハビリテーションMook 5,pp57-66,2002
2)Cameron MH:Physical Agents in Rehabilitaion from Research to Practice. WB Saunders, Philadelphia, 1999
3)千田富義,中村隆一:欧米の物理療法の動向.理・作・療法22:564-568,1988
4)原田 孝:物理療法―従来の適応と最近の知見.運動・物理療法8:98-107,1997
5)林紘三郎:生体組織再構築のバイオメカニクス.理学療法学32:457-460,2005
6)池田 聡,田中信行:分子生物学のリハビリテーション医学への応用.臨床リハ10:334-337,2001
7)岩谷 力:外来物理療法の問題点.臨床リハ9:665-668,2000
8)川村次郎:人しかできないこと,機械にしかできないこと.バイオメカニズム学会誌28:55,2004
9)水落和也,畠中泰司,安藤徳彦:理学療法総論.総合リハ25:637-643,1997
10)長坂 誠,上月正博,藤居 徹・他:ラット骨格筋虚血モデルでの持続的微弱電気刺激による血管新生因子の動態.リハビリテーション医学39:457-466,2002
11)日本整形外科学会理学診療委員会:骨関節疾患に対する保存療法(理学療法,作業療法,物理療法)の実態調査報告.日整会誌75:211-241,2001
12)Rubin C, Bolander M, Ryaby JP, et al:The use of low-intensity ultrasound to accelerate the healing of fractures. J Bone Joint Surg Am 83:259-270, 2001
13)高杉紳一郎:物理療法.整形外科56:895-904,2005
14)竹田泰三,齋藤春雄:顔面神経麻痺の診療プロトコール.JOHNS 15:1928-1929,1999
15)特集:組織修復と物理療法.理学療法21:1335-1380,2004
16)Tsumaki N, Kakiuchi N, Sasaki J, et al:Low-intensity pulsed ultrasound accerates maturation of callus in patients treated with opening-wedge high tibial osteotomy by hemicallotasis. J Bone Joint Surg Am 86:2399-2405, 2004
17)上野照剛,安藤譲二,井街 宏:特集:内科―21世紀への展望 Ⅱ.関連領域の進歩と内科学・内科診療,5.医用工学.日内会誌91:3389-3393,2002
18)運動器リハビリテーション委員会:理学療法機器が発する電磁波被害の実態.日本整形外科学会・広報室ニュース61号,p6,2005
19)山岡貞雄,乗上信幸:競争馬の温泉療法とリハビリテーション.日本温泉気候物理医学会雑誌43(1,2):6-11,1979
20)横串算敏:物理療法の選択と適応.臨床リハ9:669-677,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら