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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科41巻8号

2006年08月発行

文献概要

誌上シンポジウム 腰部脊柱管狭窄症―最近の進歩

腰部脊柱管狭窄症の診断―疫学,診察,画像所見

著者: 中村正生1

所属機関: 1美濃市立美濃病院整形外科

ページ範囲:P.853 - P.857

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 腰痛を訴える患者の中には,姿勢因子に左右される間欠跛行を自覚する症例も多く,腰部脊柱管狭窄症の潜在を考えるべきである.本症に対しては国際分類が作られている.立位や後屈位での腰下肢痛の増悪,前屈位での軽快の有無や,膀胱直腸障害,陰部症状などを,丁寧な問診で確認することが重要である.単純X線像では,全体のアライメント,すべりなどを中心に観察する.MRIの矢状断像,横断像から椎間板変性や黄色靱帯の肥厚などに伴う硬膜管の狭小化が確認できる.脊髄造影では動態撮影が可能であり,完全ブロックが確認される症例には手術的治療を積極的に考慮する.CTミエログラフィでは,狭窄部の骨性因子の様子が明らかとなる.神経根造影・ブロックにより責任高位の確認が行える.鑑別診断を要する疾患には,閉塞性動脈硬化症や脊髄性間欠跛行がある.前者には間欠跛行と姿勢因子との関連はみられず,後者ではBabinski徴候陽性,膝蓋腱反射(PTR)・アキレス腱反射(ATR)亢進などが鑑別点となる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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