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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科42巻10号

2007年10月発行

文献概要

誌上シンポジウム 外傷性頚部症候群―最近の進歩

外傷性頚部症候群のケベック分類からみた治療指針の樹立

著者: 川上守1

所属機関: 1公立大学法人和歌山県立医科大学附属病院紀北分院整形外科

ページ範囲:P.977 - P.981

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 1995年にケベックむち打ち症関連障害特別調査団が作成した重症度分類は,頚部愁訴,理学神経学的所見,脊椎の構築学的異常の有無からなされている.神経所見を伴うGradeⅢや骨折や脱臼のみられるGradeⅣを除いたGrade 0からⅡがいわゆるむち打ち損傷である.どのGradeでも耳が聞こえない,めまい,耳鳴り,頭痛,記憶障害,嚥下障害,顎関節痛などの脳・自律神経系の多彩な症状が出現することを認めている.外傷性頚部症候群はこれら多彩な症状が伴う場合に一般に用いられることが多い.GradeⅠやⅡで頚部愁訴のみであれば一時的な症状であり,永続的な障害をほとんど残さず一定期間で問題なく回復する.また,ケベックガイドラインにそって治療可能である.しかしながら,多様な病態を有する外傷性頚部症候群では安心感の保証のみでは治療に難渋することが多い.多様な病態の解明とそれに沿った治療指針の樹立が望まれる.

参考文献

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10)土屋弘吉,土屋恒篤・他:いわゆる鞭打ち損傷の症状について.災害医学 11:37-387, 1968

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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