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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科42巻12号

2007年12月発行

文献概要

論述

術中側臥位での前額面骨盤側方傾斜に及ぼす因子

著者: 小関弘展1 古市格1 廣田康宏1 村田雅和1 宮路剛史1 古川晃郁1 野崎修1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター整形外科

ページ範囲:P.1171 - P.1175

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 側臥位での骨盤前額面傾斜に影響する因子について検討した.骨盤支持器で側臥位に固定した股関節手術例12例〔人工股関節置換術(THA)9例,人工骨頭置換術3例〕を対象とした.術直前に麻酔下に手術台を含む骨盤正面像を撮影し,両涙痕下端,坐骨下端,仙腸関節下端を結ぶ線の,手術台からの垂線に対する骨盤の前額面傾斜を計測し,対側の大転子張り出し度(大転子と腸骨外縁を結ぶ線の骨盤中心軸となす角),腰椎側弯度,身長,体重,BMI,胸囲,腹位,殿位との相関の有無を検討した.骨盤の前額面傾斜は,平均+0.63±0.9°(-4.0~+6.0°)であった.大転子張り出し度との相関を認め(p=0.006,R=0.74),大転子が腸骨より張り出しているほど,骨盤は頭側へ傾く傾向が認められた.側臥位での骨盤手術やTHAなどの股関節手術においては,前額面側方傾斜が必ずしも一定ではないこと,術前骨盤正面X線像での腸骨に対する大転子の張り出し度が術中の骨盤側方傾斜に影響することを念頭に置いて行うべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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