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整形外科/知ってるつもり
生物学的製剤のリウマチ患者への適応
著者: 天野宏一1 竹内勤1
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科
ページ範囲:P.344 - P.347
文献購入ページに移動関節リウマチ(RA)は,従来考えられていたような慢性の進行性疾患でなく,薬物療法によってコントロールし進行を抑えることができる疾患である.したがって治療の基本姿勢として,診断後できるだけ早期に適切な薬物療法,すなわち抗リウマチ薬(DMARD)による治療を開始し,「骨破壊・関節変形の進行抑制」をめざさなければならない.臨床的には,当面は関節痛や関節の腫れをなくし,炎症反応が正常(血清CRP陰性または赤沈正常)となる「寛解」を目指す.したがって,RAの診断後に非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を長く使い続ける,従来のピラミッド式治療の考え方は誤りであり,2002年にアメリカリウマチ学会が出したガイドライン(図1)でも,診断後早期にDMARDを使用すると明記されている1).さらに,メトトレキサート(MTX)を少なくとも2番目のDMARDとして使用する.すなわち1つのDMARDが無効なら次にMTXを考慮する.
しかしMTXを使用しても寛解になるのは半分以下であり,臨床的に改善したと思われる症例でも,骨破壊の進行は完全には阻止できない.このようなMTXの効果不十分例に対し,生物学的製剤は臨床的に寛解に導くだけでなく,骨破壊の進行をほぼ完全に阻止し,小さな骨びらんを修復さえする画期的な作用を有する(図2).今後,MTX無効例のみならず,早期RAの初期治療に生物学的製剤を使用し,骨破壊を最小限にとどめる治療が期待される.
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