icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科42巻4号

2007年04月発行

文献概要

整形外科/知ってるつもり

生物学的製剤のリウマチ患者への適応

著者: 天野宏一1 竹内勤1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科

ページ範囲:P.344 - P.347

文献購入ページに移動
関節リウマチの治療:最近の考え方

 関節リウマチ(RA)は,従来考えられていたような慢性の進行性疾患でなく,薬物療法によってコントロールし進行を抑えることができる疾患である.したがって治療の基本姿勢として,診断後できるだけ早期に適切な薬物療法,すなわち抗リウマチ薬(DMARD)による治療を開始し,「骨破壊・関節変形の進行抑制」をめざさなければならない.臨床的には,当面は関節痛や関節の腫れをなくし,炎症反応が正常(血清CRP陰性または赤沈正常)となる「寛解」を目指す.したがって,RAの診断後に非ステロイド抗炎症薬(NSAID)を長く使い続ける,従来のピラミッド式治療の考え方は誤りであり,2002年にアメリカリウマチ学会が出したガイドライン(図1)でも,診断後早期にDMARDを使用すると明記されている1).さらに,メトトレキサート(MTX)を少なくとも2番目のDMARDとして使用する.すなわち1つのDMARDが無効なら次にMTXを考慮する.

 しかしMTXを使用しても寛解になるのは半分以下であり,臨床的に改善したと思われる症例でも,骨破壊の進行は完全には阻止できない.このようなMTXの効果不十分例に対し,生物学的製剤は臨床的に寛解に導くだけでなく,骨破壊の進行をほぼ完全に阻止し,小さな骨びらんを修復さえする画期的な作用を有する(図2).今後,MTX無効例のみならず,早期RAの初期治療に生物学的製剤を使用し,骨破壊を最小限にとどめる治療が期待される.

参考文献

1)American College of Rheumatology Subcommittee on Rheumatoid Arthritis Guidelines:Guidelines for the management of rheumatoid arthritis. 2002 update. Arthritis Rheum 46:328-346, 2002
2)Keane J, Gershon S, Wise RP, et al:Tuberculosis associated with infliximab, a tumor necrosis factor α-neutralizing agent. N Engl J Med 345:1098-1104, 2001
3)Miyasaka N, Takeuchi T, Eguchi K:Official Japanese guidelines for the use of infliximab for rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol 15:4-8, 2005
4)Miyasaka N, Takeuchi T, Eguchi K:Guidelines for the proper use of etanercept in Japan. Mod Rheumatol 16:63-67, 2006
5)Smolen JS, Han C, Van der Heijde DM, et al:Infliximab treatment maintains employability in patients with early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 54:716-722, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら