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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科42巻5号

2007年05月発行

文献概要

誌上シンポジウム 肩こりの病態と治療

肩こりの病態―対照群との比較を中心に

著者: 矢吹省司1

所属機関: 1福島県立医科大学医学部整形外科

ページ範囲:P.413 - P.417

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 肩こりの病態や概念については,いまだ不明な点が多い.本論文では,1)「常に肩こりを有する群」と「全く肩こりのない群」を抽出して,比較検討した結果から明らかになった肩こりの病態や要因,2)一般住民へのアンケートの解析からみた年齢による肩こりの病態の相違について述べる.明らかになった点は,以下の通りである.

・肩こり群と対照群の間で,明らかな相違が認められたのは,「自覚的な労働の大変さ」,「脊柱所見の有無」,「肩関節他動運動による症状誘発の有無」,そして「僧帽筋の筋硬度」であった.

・「なで肩の有無」や「MRIでの椎間板変性の有無」には,2群間で有意な差は認められなかった.

・肩こりの病態は,頚椎や肩の機能障害が基盤としてあり,それに伴ってそれらの支持組織である僧帽筋に負担がかかっている状態であり,仕事のストレスが関連している.

・青壮年群の肩こりと高齢群の肩こりでは,肩こりの病態が異なる可能性や効果のある治療法が異なる可能性がある.

参考文献

1)伊藤達雄:肩こりの診断のポイント.クリニシアン 44:495-498, 1997
2)平成13年国民生活基礎調査,第1巻解説編.厚生労働省大臣官房統計情報部編,p192, 2003
3)矢吹省司,菊地臣一:肩こりの病態.臨整外 36:1241-1246, 2001
4)矢吹省司,菊地臣一:肩こりの病態―第2報:青壮年者と高齢者の比較.臨整外 38:31-35, 2003
5)横田敏勝:漱石の疼痛,カントの激痛.講談社現代新書,p50, 講談社, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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