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連載 医者も知りたい【医者のはなし】・27
オランダ人・ブールハーフェ(1668-1738)Hermann Boerhaave 臨床医学・ベッドサイド教育の父
著者: 木村專太郎1
所属機関: 1木村専太郎クリニック
ページ範囲:P.52 - P.54
文献購入ページに移動今回は18世紀初頭に臨床家として,また医学教育者・ベッドサイド教育の創始者として活躍したオランダ・ライデン大学内科教授・ブールハーフェ(Hermann Boerhaave 1668-1738)のことを述べる.オランダ語では,“V”は,“F”の発音である.彼は,優れた臨床教育を行った最初の人物とされており,ライデン大学を特に医学校として名を高めた.また,弟子を通じてエディンバラ大学,ウィーン大学などの医学教育に影響を及ぼし,ドイツでは近代的医学教育法の創始者と尊敬されている.
米国の外科教科書を読んでいると,嘔吐に起因する食道破裂を“Boerhaave syndrome”と記載してある.嘔吐で起こる胃小弯上部の粘膜の裂傷と出血は“Mallory-Weiss syndrome”として医師の間ではよく知られているが,残念ながらブールハーフェの食道破裂はあまり知られていない.
米国では,“Boerhaave”を“ベアハーヴ”と発音するが,日本では江戸時代から知られた医師の名前で,“ブールハーへ”と発音され,“歇爾満(へるまん)・蒲爾花歇(ぶーるはーへ)”と彼の名前が漢字で書かれている.江戸時代の後期に江戸で開業し,緒方洪庵の師である坪井信道の訳した「蒲爾花歇,萬病治準」の21巻があり,また京都で開業していた新宮凉庭(しんぐうりょうてい)の訳した「医学論」がある.このように“蒲爾花歇”は江戸の蘭学に大きな影響を与えている.
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