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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻1号

2008年01月発行

文献概要

症例報告

脊髄症を呈した先天性頚椎後弯症の1例

著者: 許斐恒彦1 石井賢1 小川祐人1 高石官成1 中村雅也1 松本守雄2 戸山芳昭1 千葉一裕1

所属機関: 1慶應義塾大学整形外科 2慶應義塾大学運動器機能再建・再生学

ページ範囲:P.85 - P.90

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 脊髄症を呈した先天性頚椎後弯症の1例を報告した.症例は1歳9カ月の女児で,運動発達障害と短頚を主訴に来院した.単純X線像にてC6を頂椎とする著明な後弯変形を,MRIでは頂椎による脊髄の圧迫を認めた.先天性頚椎後弯症の診断にて頭蓋直達牽引後に一期的前方除圧固定術と後方固定術を施行した.手術は前側方から進入しC5,6椎体部分切除による脊髄の除圧を行い,チップ状の自家骨移植を施行した.後方にも十分な自家骨を移植した.術後は1カ月間の頭蓋直達牽引を行い後弯のさらなる矯正を試みた.本症例は体が小さく,C2からC7まで連続する二分脊椎を認めたため,一塊とした骨移植や内固定材の使用は困難であった.チップ状の骨移植と術後直達牽引により緩徐な後弯矯正と良好な骨癒合を得た.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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