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視座
Locomotive syndrome(ロコモ)
著者: 岩谷力1
所属機関: 1国立身体障害者リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.949 - P.950
文献購入ページに移動先年,診療報酬点数の請求対象として認められた運動器不安定症の疾患概念は,いくつかの疫学データから転倒・骨折が要介護状態の重要な原因疾患であること,「高齢者」,「運動器疾患」,「バランス能力・歩行能力低下」,「転倒リスク」,「とじこもりリスク」の要因間の関連性が明らかになったことから提唱されたものである.しかし,運動器疾患,運動器機能,転倒,寝たきりに関連する因子,それらの因子間の関連性,ことに因果関係は検証されていない.さらに,転倒以外にも運動器機能不全に起因して要介護状態となりうるプロセスがあるはずである.運動器機能不全に起因して要介護状態に至る病態,プロセスの総体を,ロコモ(locomotive syndrome)としてとらえ,そのなかで転倒を介して生活機能の低下に至る運動器不安定症を含め,運動器疾患が運動器機能の低下,生活の活動性低下,要介護状態へと連なっていく過程を論理的に説明するモデルを作成し,検証することが喫緊の課題である.
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