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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻10号

2008年10月発行

文献概要

誌上シンポジウム 発育期大腿骨頭の壊死性病変への対応

大腿骨頭すべり症に伴う骨頭壊死に対する長期免荷治療

著者: 入江太一1 大山正瑞1 田中正彦1 岡田秀人2 大出武彦3 北純1

所属機関: 1仙台赤十字病院整形外科 2仙台赤十字病院放射線科 3国立病院機構西多賀病院整形外科

ページ範囲:P.967 - P.971

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 大腿骨頭すべり症において,骨頭壊死と変形性関節症は最も重篤な合併症である.壊死に続き骨頭圧潰が生じると関節症を生じるので補正手術が必要となるが,その効果なく関節症が進行することもある.今回,当院で経験した大腿骨頭すべり症に伴う骨頭壊死8症例について,免荷による骨頭圧潰の予防効果を調べた.大腿骨頭すべり症に対する初期治療後,壊死の評価がされず,免荷が継続して7カ月以下であったものは,骨頭が圧潰し,高度の関節症性変化が生じていた.一方,早期に壊死の発生を把握し1年から1年半以上継続して免荷が行われたものでは,骨頭圧潰を免れる例が多く,関節症変化がないかまたは軽度であった.早期に壊死の発生を診断し,1年から1年半の免荷を行うことは,骨頭の圧潰と関節症発生の予防に有用と考えられた.

参考文献

1)Boyer DW, Mickelson MR, Ponseti IV:Slipped capital femoral epiphysis. Long-term follow-up study of one hundred and twenty-one patients. J Bone Joint Surg Am 63:85-95, 1981
2)Heyman CH, Herndon CH:Epiphysiodesis for early slipping of the upper femoral epiphysis. J Bone Joint Surg Am 36:539-555, 1954
3)入江太一,北  純,大山正瑞・他:徒手整復を行なった大腿骨頭すべり症の血行状態と治療結果.日小整会誌 15:388, 2006
4)北  純,山田則一,前田慎吾・他:小児大腿骨頚部骨折における大腿骨頭壊死の発生とその修復.整・災外 48:1099-1108, 2005
5)Loder RT, Richards BS, Shapiro PS, et al:Acute slipped capital femoral epiphysis:the importance of physeal stability. J Bone Joint Surg Am 75:1134-1140, 1993
6)Loder RT:Unstable slipped capital femoral epiphysis. J Pediatr Orthop 21:694-699, 2001
7)Maeda S, Kita A, Fujii G, et al:Avascular necrosis associated with fractures of the femoral neck in children;histological evaluation of the femoral head. Injury 34:283-286, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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