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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻10号

2008年10月発行

文献概要

論述

脊椎手術における術前抗菌薬単独投与のみの感染管理

著者: 沼沢拓也1 横山徹1 小野睦1 和田簡一郎1 藤哲1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座

ページ範囲:P.1005 - P.1009

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 術前のみの予防的抗菌薬投与で,従来の術中および術後抗菌薬投与法の場合と術後感染率に違いがあるかを調査した.対象は2003年11月から2007年12月までに術前感染症例を除いた,手術時間4時間以内の236例である.インストゥルメンテーション手術例は43例(18.2%),compromised host例は61例(25.8%)であった.対象全例は術前のみの抗菌薬投与で,術中および術後の追加投与を行わなかった.術後感染率は1.3%(3/236例)であり,従来の術中および術後抗菌薬投与群に比較し術後感染率,耐性菌出現率において低値を示していた.今回の結果から脊椎の短時間手術においては,術中および術後の抗菌薬投与は,術後感染予防に必ずしも効果があるとは言えないことがわかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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