icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻10号

2008年10月発行

文献概要

症例報告

小児に発生した脂肪塞栓症候群の1例

著者: 小野真義1 冨岡正雄1 中村雅彦1 西倉哲司1 松山重成1 中山伸一1 小澤修一1

所属機関: 1兵庫県災害医療センター

ページ範囲:P.1047 - P.1051

文献購入ページに移動
 脂肪塞栓症候群は骨折の合併症として知られているが,小児においては,骨髄成分が成人のものとは違うため稀であると言われてきた.今回われわれは11歳の男児に発生した脂肪塞栓症候群を経験したので報告する.外傷は左大腿骨骨幹部骨折,両足関節脱臼骨折,第5腰椎破裂骨折であったが,臨床症状は安定していた.大腿骨骨幹部骨折に対して鋼線牽引を,足関節脱臼骨折に対してはギプスシーネ固定を行い入院となった.その後ヘモグロビンと血小板の著明な減少と,急激な呼吸状態の悪化がみられたため本症と診断し,人工呼吸管理を中心とした集中治療を行い,左大腿骨骨幹部骨折に創外固定を行い軽快した.診断に関してはGurdや鶴田らの臨床診断基準が有名であるが,本症に特異的な基準はなく,本症を疑わなければ出血や他の呼吸器合併症との鑑別は困難である.また,治療は成人と同様に呼吸管理と骨折部の安定化が重要である.

参考文献

1)Gurd AR:Fat embolism. an aid to diagnosis. J Bone Joint Surg Br 52:732-737, 1970
2)Sevitt S:Fat Embolisim. Butterworths, London;181-196, 1962
3)白岡 格:実験的脂肪塞栓の研究―骨折枝の固定と脂肪塞栓との関連.救急医学 4(11):1569-1575, 1980
4)田中 潔,大江成博,佐藤明人・他:脂肪塞栓症候群急性期における麻酔管理.臨床麻酔 9:1209-1212,1985
5)鶴田登代志:脂肪塞栓.日本医事新報 2468:7-11,1971
6)鶴田登代志,塩川靖夫:脂肪塞栓.整形外科MOOK5,pp172-184,金原出版,東京,1978
7)鵜飼 卓,太田宗夫,南 卓男・他:脂肪塞栓症.外科治療 29:223-229, 1973
8)吉田和夫,佐藤守弘,茂木実香:大腿骨骨折後に脂肪塞栓症候群を合併した1小児例.小児科臨床 46:2687-2690,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら