臨床整形外科43巻11号

2008年11月発行

症例報告

末期変形性股関節症を合併した大腿骨転子下骨折後の偽関節に対して人工股関節置換術を施行した1例

著者： 納田和博¹² 小山秀世² 山口耕史¹ 羽山和生² 森本高史² 宮崎展行¹ 吉田宗人¹

所属機関： ¹和歌山県立医科大学整形外科学教室 ²琴の浦リハビリテーションセンター整形外科

ページ範囲：P.1137 - P.1140

　末期変形性股関節症を合併した大腿骨転子下骨折後の偽関節に対して，一期的に人工股関節置換術（THA）を施行した1例を経験したので報告する．症例は66歳の女性，変形性股関節症を合併した大腿骨転子下骨折に対して骨接合術が施行されたが骨癒合が得られず，変形性股関節症と偽関節による疼痛のため歩行困難であった．一期的にヘッドネックステムを用いたTHAを施行したところ，痛みの消失と可動域の改善が得られ歩行可能となった．末期変形性股関節症を合併した大腿骨転子部周辺偽関節に対して，ヘッドネックステムを用いたTHAも有用と考える．

参考文献

1）Dretakis EK, Steriopoulos KA, Kontakis GM, et al：Cervical hip fractures do not occur in arthritic joints. Acta Orthop Scand 69：384-386, 1998

2）服部高子，津田隆之，佐藤　巌・他：末期変形性股関節の同側に生じた大腿骨転子下骨折の3例．臨整外 40：313-316, 2005

3）Li B, Aspeden RM：Material properties of bone from the femoral neck and calcar femorale of patients with osteoporosis or osteoarthritis. Osteoporos Int 7：450-456, 1997

4）松村福広，長野健治，本田　透・他：変形性股関節症患者に生じた大腿骨近位部骨折の検討．香川中病医誌 19：5-10, 2000

5）Tronzo RG（ed）：Surgery of the Hip Joint, 2nd ed, Vol 2, Springer, New York, 230-256, 1987

6）角田和信，大賀正義，有馬準一・他：変形性股関節症に生じた大腿骨転子下骨折の治療経験．整形外科と災害外科 51：8, 2002