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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科43巻12号

2008年12月発行

雑誌目次

論述

セメントレス人工股関節置換術における臼蓋スクリュー設置の安全域の検討―臼蓋側からみた骨盤部血管の解剖学的研究

著者: 大橋寛憲 ,   菊地臣一 ,   青田恵郎 ,   紺野慎一

ページ範囲:P.1161 - P.1166

 セメントレス人工股関節置換術での重篤な合併症の一つに,臼蓋インプラントのスクリュー設置操作に伴う骨盤部血管の損傷がある.今回,われわれは骨盤部血管損傷を予防するため,臼蓋側からみた骨盤部血管の位置を解剖学的に検討して,臼蓋スクリューの設置操作における安全域を明らかにした.臼蓋の中央部分を除いた臼蓋後方の領域においては,臼蓋の裏側に骨盤部血管は一部にしか存在しなかった.また,臼蓋の裏側に骨盤部血管が存在していても骨盤血管までの距離は31mm以上であった.すなわち,中央部分を除く臼蓋の後方部分が,臼蓋スクリュー設置の安全域といえる.しかし,骨盤の形態や骨盤部血管の走行には個人差があるため,骨盤部血管損傷を回避して安全に手術を行うためには,短いドリルやスクリューを使用して,細心の注意を払い操作する必要がある.

後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)において椎間を持ち上げすぎると隣接椎間障害を来す

著者: 海渡貴司 ,   細野昇 ,   向井克容 ,   牧野孝洋 ,   冨士武史 ,   米延策雄

ページ範囲:P.1167 - P.1176

 L4腰椎変性すべり症に対しL4/5単椎間後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF)を施行し2年以上追跡した85名を対象に,単純X線像,CTを用い隣接椎間障害(ASD)に対する危険因子を検討した.L4/5固定椎間高は,ASD(-)群(58例)の3.1/1.3mm(術直後/最終)に対し,画像的ASD(+)群(14例)は4.4/1.5mm,臨床的ASD(+)群(13例)は6.2/4.3mmと有意に持ち上げられており,過度の持ち上げがASDの危険因子であることが示された.臨床的ASD(+)群の11例はL3/4の手術が追加されていた.

大腿骨近位部骨折手術患者の手術待機期間と歩行能力獲得について

著者: 山口徹 ,   須永勘一 ,   中野宜子 ,   島田絵美子 ,   田島康介 ,   浦部忠久

ページ範囲:P.1177 - P.1181

 大腿骨近位部骨折の手術待機日数と術後歩行能力について検討した.2004年1月から2006年12月までに手術した大腿骨近位部骨折407例のうち,術後合併症がなく杖歩行を達成した152例を対象とした.大腿骨近位部骨折においては,待機日数と杖歩行達成までの期間に相関は見られなかったが,大腿骨転子部・転子下骨折においては,手術を1日待機すると杖歩行達成が約2.8日遅れるという結果が得られた.よって術後合併症の予防に加え,歩行能力改善のため,特に転子部・転子下骨折では早期手術が望ましいと考えられた.

立位体幹前後屈時の腰椎矢状面椎間挙動解析

著者: 大久保雄 ,   金岡恒治 ,   半谷美夏 ,   泉重樹 ,   椎名逸雄 ,   辰村正紀 ,   宮川俊平

ページ範囲:P.1183 - P.1188

 健常男性9名に対し,角度変化が中等度の立位体幹前後屈を行わせた際の矢状面腰椎挙動をX線シネ撮影装置で撮影し,各椎間の角度変化および位相差を椎間別に比較した.その結果,前屈動作において,L2/3の角度変化がL4/5に比べ有意に大きく,L1/2およびL2/3がL4/5に比べ有意に早く挙動を開始した.一方,後屈動作では角度変化,位相差ともに有意差は認められなかった.以上から,角度変化が中等度の前屈動作ではL2/3の角度変化が大きく,上位椎間から挙動を開始することが明らかとなった.

セメントレス人工膝関節置換術後早期に脛骨コンポーネント周辺で発生するradiolucent lineに対する検討

著者: 佐々木宏介 ,   有馬準一 ,   生田光 ,   中野壮一郎 ,   田中孝幸 ,   東野修 ,   大賀正義

ページ範囲:P.1189 - P.1192

 セメントレス脛骨コンポーネント周辺でimplant micromotionにより術後早期に発生するradiolucent line(RLL)ついて検討した.RLLはすべて術後6カ月以内に出現したが3mmを超える症例はなく,経過観察期間中すべて非進行性であった.またHSS scoreによる検討結果,RLL出現膝群と非出現膝群間で臨床成績に有意差はなかった.一方,使用機種でみたとき,ScorpioのRLL出現率はAdvanceより有意に低かったが,これはScorpioがハイドロキシアパタイトコーティングされているためと考えられた.

検査法

電気生理学的手法を用いた腰椎椎間孔外狭窄病変の新しい診断法

著者: 岩﨑博 ,   山田宏 ,   吉田宗人 ,   遠藤徹 ,   中尾慎一 ,   南出晃人 ,   中川幸洋 ,   河合将紀

ページ範囲:P.1193 - P.1198

 本研究の目的は腰椎椎間孔外狭窄病変の新しい診断法を確立することである.対象はわれわれの考案した電気生理学的手法による評価を行った21症例である.手術に先立ち,透視下に第5神経根の椎間孔出口部に刺入した針電極から電気刺激を行い,前脛骨筋から導出した複合筋活動電位を用いて,その遠位潜時についての検討を行った.各種画像検査および手術所見から確定診断を得た椎間孔外狭窄症例7例における障害側の潜時は15.2~55.9ms(平均22.0ms)であるのに対し,脊柱管内狭窄のみの症例では12.0~15.6ms(平均13.8±1.0ms)であった.ROC曲線(receiver operative characteristic curve)で求めたカットオフ値は15.2msであることから,腰椎椎間孔外狭窄の新しい診断基準として第5腰神経根電位の遠位潜時(L5-DML:distal motor latency)15.2ms以上をわれわれは提唱したい.

調査報告

大学病院整形外科における高齢者手術症例の検討

著者: 戸口裕介 ,   阿部紀絵 ,   篠崎哲也 ,   大沢敏久 ,   高岸憲二

ページ範囲:P.1199 - P.1203

 大学病院整形外科外来を受診した60歳以上の患者数とそのうち手術が行われた患者数,また,手術患者年齢を60~74歳と75歳以上に分け,年度ごとの手術件数とその疾患について調査検討を行った.年度ごとの外来受診者数,手術件数,平均年齢は増加傾向を示した.手術対象疾患のうち大腿骨頚部骨折,頚椎症性脊髄,腰部脊柱管狭窄症は経時的に手術件数が増加した.このうち大腿骨頚部骨折では75歳以上の患者数の占める割合が他疾患に比べ高かった.本研究結果から高齢者では骨折予防などの予防医学が今後ますます重要になると思われた.

腰仙部神経根障害における疼痛と腰痛関連機能障害の乖離―BS-POPの有用性

著者: 五十嵐環 ,   菊地臣一 ,   紺野慎一 ,   大谷晃司

ページ範囲:P.1205 - P.1209

 腰仙部神経根障害を呈する患者の中には腰下肢痛と機能障害の程度に乖離がある症例が約7割存在していた.整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問票(BS-POP)の総得点は,BS-POP医師用,患者用ともに乖離の有無で有意な差は認められなかった.痛みと機能障害の程度に乖離がある症例の検出はBS-POPのみでは困難である.BS-POPでは,仕事上の問題点を検出することができないため,これに対するスクリーニングも考慮する必要がある.

総説

腰部脊柱管狭窄と血流

著者: 関口美穂 ,   紺野慎一 ,   菊地臣一

ページ範囲:P.1211 - P.1218

 臨床の病態に即した腰部脊柱管狭窄類似モデルを用いて,神経機能と治療効果について検討した.馬尾・神経根の圧迫により,神経内血流は低下し,神経伝導速度が低下する.神経根圧迫では疼痛閾値は低下するが,馬尾圧迫では低下しない.馬尾圧迫により,神経内血管の内皮細胞損傷が惹起され,セロトニンに対する感受性が亢進する.プロスタグランジン,セロトニン受容体拮抗薬,あるいはシロスタゾールの投与により圧迫部の神経内血流が改善する.このことから,各種血流改善薬は,腰部脊柱管狭窄の保存療法の手段の一つとして有効性が期待できる.

最新基礎科学/知っておきたい

Sox9研究の進歩

著者: 秋山治彦

ページ範囲:P.1220 - P.1223

■軟骨細胞の発生と分化

 われわれの身体の多くの骨は,軟骨を鋳型とする内軟骨性骨化によって形成される.よって軟骨の異常は生後の骨格異常を来し,また,思春期までは成長軟骨板の異常による成長障害,成人では関節軟骨の変性による変形性関節症などの病気を引き起こす.成人の生体内での正常軟骨(ここでは硝子様軟骨を指すこととする)の形成は,骨折の治癒過程に認められる程度であり,関節軟骨などの修復機転は発生過程を正確に再現するものではない.胎生期の軟骨細胞は神経堤細胞や間葉系細胞の多分化能を有する細胞に由来する.これらの細胞はある時期に凝集し,軟骨細胞へと細胞形態を変化させる.発生した軟骨細胞は軟骨特異的な基質蛋白質を分泌しながら増殖,成熟し,最終的には基質の石灰化を経て骨へと置換される.軟骨細胞の発生,分化の分子生物学的機序の解明は,1994年Fosterら9)やWagnerら23)により発表されたcampomelic dysplasia(屈曲肢異形成症)の原因遺伝子Sox9がブレイクスルーの第一歩となった.

連載 小児の整形外科疾患をどう診るか?─実際にあった家族からの相談事例に答えて・20

化膿性股関節炎

著者: 亀ヶ谷真琴

ページ範囲:P.1226 - P.1227

相談例「化膿性股関節炎」

 失礼ながら,初めてメールさせていただきます.

 現在,小学3年生になる息子(8歳9カ月)が「股関節炎」ということで入院しています.今のところ,単純性股関節炎か化膿性股関節炎かが不明だそうです.もし,手術が必要な場合は,今入院している病院ではなく,大学病院などで手術をしてもらいたいと思っています.しかし化膿性股関節炎は4~5日以内に手術が必要とのことですので,大学病院ですぐに手術を手配してもらえるかどうかが心配です.

 質問の1点目は,化膿性股関節炎や大腿骨股関節部のずれまたは壊死など手術を行うには,このまま近所の総合病院(私立)に任せたほうがよいのでしょうか? それとも大学病院へお願いしたほうがよいのでしょうか? 近所の総合病院では,小児の手術例がどのくらいあるかわかりません.今ひとつ信頼しきれません.

 質問の2点目は,治療状況は現在のままでよいのでしょうか? 当初4日間抗生剤の点滴を行っているだけで,特に何もしていないため,非常に不安です.

 現在までの経過を記載します.某日の朝に,息子が「右ふとももの付け根が痛い」と訴え,そのまま学校へ行き,13時半に帰宅しました.歩くのが苦痛な様子でした.体温はその時点で37.2度ありました.そのまま近所の総合病院へ行き,レントゲンを取ると股関節に影があり「水が貯まっているだろう」ということで,MRIと血液検査を行いました.MRIでも股関節に水が貯まっており,血液検査の結果のCRP値が1.33ということで,「今の時点では単純性股関節炎の可能性は60%程度で,化膿性股関節炎や大腿骨股関節部のずれまたは壊死など,手術が必要な病気の可能性もあるため,2週間は入院して様子をみる必要がある」と言われました.

 治療としては,抗生剤の点滴を4日間計6回やりました.その後は「様子をみる」ということで,何も行っていません.痛みは4日後にはかなり軽減されましたが,1週間たっても骨盤を固定して太ももを90°以上上げると痛みがあり,それ以降痛みが減っている様子はありません.この状態は現在まで約2週間続いています.なお,入院してからは「安静が大事」とのことですので,一切自分で歩かせていません.2回目の血液検査を行ったところ,CRP値が0.17であるとのことでした.まだ化膿性股関節炎などの可能性があるということで入院しております.今後の予定としては,血液検査と2回目のMRIを行うとのことです.その結果次第では針を刺して関節部の水を抜き,ただの水か膿かを調べるとのことです.膿の場合は手術だと言われています.

臨床経験

前方進入法による両側同時人工股関節全置換術

著者: 老沼和弘 ,   白土英明 ,   斉藤康文

ページ範囲:P.1229 - P.1232

 筋肉温存型最小侵襲手術である前方進入法を用い,両側同時に人工股関節全置換術(以下THA)を施行したので,その手術成績につき報告する.対象は,2004年12月から2007年7月までに,当院で両側同時THAを施行した24例である.平均手術時間114分,術中出血量564mlであり,術後入院期間は15.1日であった.周術期に重篤な合併症はなかった.前方進入法による両側同時THAは,安全かつ正確な人工関節の設置が可能であり,他の進入法に比べて手術時間の短縮,早期退院に有利と考えられた.

人工膝関節置換術後の大腿骨顆上骨折に対する逆行性髄内釘の使用経験

著者: 古川雄樹 ,   大川匡 ,   浅岡隆浩 ,   堺慎

ページ範囲:P.1233 - P.1237

 人工膝関節置換術後の大腿骨顆上骨折は時に見受けられる.今回われわれは逆行性髄内釘を用いて治療を行ったので報告する.1999年11月から2005年6月までに発生した人工膝関節置換術後の大腿骨顆上骨折5例を対象とした.全例女性で全例関節リウマチ膝であった.人工膝関節は全例Nexgen,MG Ⅱ,CRが施行されており,3例に対しSmith and Nephew社製Supracondylar nail,2例に対しSynthes社製Distal femoral nailを使用した.全例骨癒合が得られ,術後平均ガンマ角は+0.6°であった.骨折部の伸展変形を防ぐには術前に大腿骨インプラントの顆間窩の幅と髄内釘の直径を検討する必要がある.

ボックス型ケージを使用した頚椎前方固定術とSmith-Robinson法の手術成績の比較検討

著者: 生熊久敬 ,   高田敏也 ,   森谷史朗 ,   布施好史 ,   善家雄吉 ,   前原孝 ,   横山良樹

ページ範囲:P.1239 - P.1245

 当院では頚椎前方固定術においてボックス型チタンケージを使用しており,その有用性を検討したので報告する.対象はSmith-Robinson法(SR群)11例,ボックス型ケージ(BC群)11例である.JOAスコア改善率に有意差は認めず,手術時間,出血量はBC群が136.1分,42.7mlで有意に少なかった(p=0.037,p=0.048).局所前弯角の変化,固定椎体間高の変化には有意差は認められなかったが,最終観察時の局所前弯角はBC群が有意(p=0.009)に良好な矯正が保持されていた.ボックス型ケージはSmith-Robinson法に比較して,局所前弯角の獲得と維持に優れている術式であると考えられた.

症例報告

明らかな皮膚病巣がなく脊椎・骨盤転移を認めた悪性黒色腫の1例

著者: 川崎優二 ,   山田圭 ,   佐藤公昭 ,   横須賀公章 ,   朴珍守 ,   吉田龍弘 ,   永田見生 ,   吉田史郎 ,   大山文悟 ,   島田浩光 ,   橋本隆 ,   西田俊晴 ,   吉田健治

ページ範囲:P.1247 - P.1252

 患者は32歳の男性で,腰痛および左股関節痛,腹部のしびれが出現した.MRIで第11胸椎に腫瘍を認め,骨シンチグラムで骨盤にも集積を認めた.胸部腹部骨盤CTおよび上部・下部消化管内視鏡検査で明らかな原発巣はなかった.骨盤からの骨生検で悪性黒色腫の診断を受けたが明らかな皮膚・粘膜病変はなかった.化学療法のため皮膚科入院中に対麻痺・膀胱障害が生じたので,脊椎後方除圧固定術を施行した.麻痺は残存したが,除痛が得られた.診断には骨生検が有用であり,原発巣不明の転移性脊椎腫瘍の原因として悪性黒色腫も検討すべきと考えられた.

遊離自家腸骨移植と髄内釘固定により治癒しえたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)脛骨骨髄炎の1例

著者: 山崎良二 ,   北野元裕 ,   上田孝文 ,   吉龍澄子

ページ範囲:P.1253 - P.1258

 下腿開放骨折治療後に生じた脛骨骨髄炎に対して遊離自家腸骨移植と髄内釘固定術で治癒しえた1例を報告する.症例は63歳の男性,交通事故で右下腿開放骨折を受傷した.前医で創外固定を施行されたが,ピン刺入部にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染から脛骨骨髄炎を併発した.病巣掻爬を行い広範な軟部組織欠損を生じ,脛骨も15cmに及ぶ掻爬を行ったが連続性は残すことができた.開放創として処置を継続し感染が鎮圧されたため,広背筋皮弁移植を行った.皮弁生着後,最終的に腸骨骨移植と髄内釘固定を施行し,感染の再燃なく骨癒合が得られた.

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あとがき フリーアクセス

著者: 吉川秀樹

ページ範囲:P.1266 - P.1266

 10月9日,下村脩博士が,緑色蛍光蛋白質(GFP)蛋白単離の功績により,ノーベル化学賞に輝きました.日頃,整形外科研究,論文にも頻繁に登場するGFP蛋白の単離が,1962年に日本人により行われたことを知り,驚きと感動を覚えました.下村博士は,「オワンクラゲを見て,美しい,不思議だと思った.どうしてこんな色が出るのだろうかと疑問に思って,研究を始めた.応用なんて考えなかった.」と会見で述べています.第一に,研究の動機が素晴らしいと思いました.研究の一端を担っているわれわれ整形外科医も是非「美しい,不思議だ」と思って,研究を始めたいものです.第二に思ったことは,いかにすぐれた発見でも,それに注目し,育て,応用してくれる研究者が必要であるという点です.日本では,あまり報道されていませんが,GFP研究の成功には,同時受賞のChalfie博士とTsien博士の貢献も大きいと考えます.1990年代になり,この2人によって,GFP遺伝子が,遺伝子組換え技術を使って細胞内に導入され,蛍光発光メカニズムの解析が進み,発光タグとして医学,生物学研究に大きな貢献をもたらしたのです.この例のように,研究には,「種をまく人」,「育てる人」,「実らせる人」が必要で,それぞれに欠くことのできない大切な役割があることを実感できました.また,10月24日,京都で開催された第23回日本整形外科学会基礎学術集会では,日本整形外科学会員である山中伸弥先生が「iPS細胞の展望と課題」を講演され,多くの整形外科医が感銘と刺激を受けました.一日も早く,iPS細胞の臨床応用が成功し,下村博士に続くことを期待しています.

 さて,今月号の論述では,THA,TKA,PLIFなど整形外科臨床で頻度の高い重要な術式の注意点,合併症など興味深い内容が多く盛り込まれています.また,検査法では,腰椎椎間孔外狭窄病変のユニークな診断法が報告され,今後の臨床の場での普及が期待されます.総説では,腰部脊柱管狭窄症を取り上げ,病態と血流の関連を解説していただきました.全般に今月号は,人口の高齢化を反映してか,加齢性疾患,脊椎変性疾患をテーマにした論文が多く掲載されている印象です.『最新基礎科学』『小児の整形外科疾患をどう診るか?』も好評連載中ですので,是非御一読ください.今後も,さらなる内容の充実を目指し,努力したいと思いますので,来年も,『臨床整形外科』をご愛読ください.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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