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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻12号

2008年12月発行

文献概要

連載 小児の整形外科疾患をどう診るか?─実際にあった家族からの相談事例に答えて・20

化膿性股関節炎

著者: 亀ヶ谷真琴1

所属機関: 1千葉県こども病院整形外科

ページ範囲:P.1226 - P.1227

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相談例「化膿性股関節炎」

 失礼ながら,初めてメールさせていただきます.

 現在,小学3年生になる息子(8歳9カ月)が「股関節炎」ということで入院しています.今のところ,単純性股関節炎か化膿性股関節炎かが不明だそうです.もし,手術が必要な場合は,今入院している病院ではなく,大学病院などで手術をしてもらいたいと思っています.しかし化膿性股関節炎は4~5日以内に手術が必要とのことですので,大学病院ですぐに手術を手配してもらえるかどうかが心配です.

 質問の1点目は,化膿性股関節炎や大腿骨股関節部のずれまたは壊死など手術を行うには,このまま近所の総合病院(私立)に任せたほうがよいのでしょうか? それとも大学病院へお願いしたほうがよいのでしょうか? 近所の総合病院では,小児の手術例がどのくらいあるかわかりません.今ひとつ信頼しきれません.

 質問の2点目は,治療状況は現在のままでよいのでしょうか? 当初4日間抗生剤の点滴を行っているだけで,特に何もしていないため,非常に不安です.

 現在までの経過を記載します.某日の朝に,息子が「右ふとももの付け根が痛い」と訴え,そのまま学校へ行き,13時半に帰宅しました.歩くのが苦痛な様子でした.体温はその時点で37.2度ありました.そのまま近所の総合病院へ行き,レントゲンを取ると股関節に影があり「水が貯まっているだろう」ということで,MRIと血液検査を行いました.MRIでも股関節に水が貯まっており,血液検査の結果のCRP値が1.33ということで,「今の時点では単純性股関節炎の可能性は60%程度で,化膿性股関節炎や大腿骨股関節部のずれまたは壊死など,手術が必要な病気の可能性もあるため,2週間は入院して様子をみる必要がある」と言われました.

 治療としては,抗生剤の点滴を4日間計6回やりました.その後は「様子をみる」ということで,何も行っていません.痛みは4日後にはかなり軽減されましたが,1週間たっても骨盤を固定して太ももを90°以上上げると痛みがあり,それ以降痛みが減っている様子はありません.この状態は現在まで約2週間続いています.なお,入院してからは「安静が大事」とのことですので,一切自分で歩かせていません.2回目の血液検査を行ったところ,CRP値が0.17であるとのことでした.まだ化膿性股関節炎などの可能性があるということで入院しております.今後の予定としては,血液検査と2回目のMRIを行うとのことです.その結果次第では針を刺して関節部の水を抜き,ただの水か膿かを調べるとのことです.膿の場合は手術だと言われています.

参考文献

1)Caird MS, Flynn JM, Leung YL, et al:Factors distinguishing septic arthritis from transient synovitis of the hip in children. J Bone Joint Surg Am 88:1251-1257, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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