誌上シンポジウム 変形性手関節症の治療
緒言
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著者:
三浪明男1
所属機関:
1北海道大学大学院整形外科
ページ範囲:P.200 - P.201
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変形性手関節症は手関節痛,運動制限,握力低下を来す代表的疾患です.WatsonとBallet(1984年)は膨大な枚数のX線写真を分析した結果,最も多くみられる変形性手関節症をSLAC(scapholunate advanced collapse) wristと命名するとともに,1つの重大なX線学的特徴を指摘しました.つまり,病期が進行し橈骨手根関節や手根中央関節に関節症変化が及んでも,橈骨と月状骨間には関節症変化が存在しないことです.その後,Cooney(1994年)を中心とするMayo Clinicグループは,舟状骨偽関節・変形治癒後に発生したSLAC wristをSNAC(scaphoid nonunion advanced collapse) wristと呼称することとしました.
本シンポジウムは山形市で開催されました第50回日本手の外科学会学術総会において会長の荻野利彦山形大整形外科教授が企画され,私もその企画の一部に参加させていただいたものです.整形外科医による認識度がまだ低いと思われるSLAC wrist,SNAC wristの病態や治療法のほか,Kienböck病,橈骨遠位端骨折後の変形性手関節症に対する治療について6人の先生に執筆していただきました.