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連載 医者も知りたい【医者のはなし】・28
英国外科医ウィリアム・ウィリス(William Willis 1837-1894) 明治維新時の医学・医療の恩人
著者: 木村專太郎1
所属機関: 1木村専太郎クリニック
ページ範囲:P.274 - P.277
文献購入ページに移動明治維新の時代に,鳥羽伏見の戦いと戊辰(ぼしん)戦争の戦場で,クロロフォルム麻酔を使って最新外科技術を駆使し,薩摩や長州の政府軍や幕府側の敵味方の差別なく両軍の多数の負傷者や病人を助け活躍した英国の外科医ウィリアム・ウィリスがいる(図1).福岡県医報の平成19年10月号に彼のことを書いたところ,かなりの反響があったので,さらに詳しくウィリスのことを書いてみる.
明治維新後,彼は西郷隆盛らの要請で創設された鹿児島医学校において,8年間医療に従事し教鞭をとった.鹿児島でウィリスの薫陶を受けた1人,高木兼寛は帝国海軍軍医として,明治8年(1875)から5年間,英国に留学した.明治初期の軍隊に蔓延し,伝染病と考えられていた脚気の治療に,高木は帰国後に白米に麦を加える研究の末,栄養説を唱えて,明治17年(1884)までに海軍から脚気を撲滅している.高木はこの脚気栄養説による治療法を英文の論文で発表して,これが後にビタミンB1発見の端緒となったのは,衆知のことである.高木はその後,日本における最初の看護学校を創り,さらに東京慈恵会医科大学を創設させている.
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