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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻4号

2008年04月発行

文献概要

誌上シンポジウム 骨粗鬆症性脊椎骨折の病態

骨粗鬆症性脊椎椎体骨折遷延治癒における骨癒合過程の観察

著者: 浦山茂樹1

所属機関: 1高岡市民病院整形外科

ページ範囲:P.321 - P.326

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 受傷後3カ月以上経過したにもかかわらず,体動時痛が持続し,しかも骨癒合していない遷延治癒例でも治療を継続することによって骨癒合が得られた.その骨癒合過程はすべて椎体後方部から生じ,まず後方部の骨量が増加し安定化した.その後,骨量が前方に向かって増加し,側方から前方部が骨癒合したが,中央部の修復は最後であった.椎体内cleftもしばしば消失し,椎体周囲に生じた仮骨から成長した骨橋がcleftを包み込むように隣接椎体と連続し,骨癒合遷延部に安定性を与えた.この生体反応によってcleftを認める遷延治癒例でも骨癒合に向かった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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