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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻5号

2008年05月発行

文献概要

誌上シンポジウム 手・肘関節鏡手術の現況と展望

変形性肘関節症に対する鏡視下関節形成術―手技と短期成績

著者: 下川寛一1 伊藤仁1 杉本良洋2

所属機関: 1市立大町総合病院整形外科 2波田総合病院整形外科

ページ範囲:P.437 - P.441

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 変形性肘関節症に対して行った鏡視下関節形成術の治療成績について検討した.対象は24例24肘関節,男性15例,女性9例で,手術時平均年齢は63.3歳(31歳から85歳),術後経過観察期間は平均18.9カ月であった.日整会肘機能評価法によるスコア術前平均49.6点が術後84.0点に,関節可動域は伸展-20.6°が-8.8°に,屈曲94.4°が114°に,また握力患健比は術前66%が術後114%に,それぞれ有意に改善していた.QuickDASHを用いた上肢障害評価は術前平均50.0が術後4週で25.3,術後6カ月では24.4にそれぞれ有意に改善していた.術後は理学療法を行うことなく,平均4.9日で術前レベルの可動域まで回復が得られていた.問題となる合併症はなく,本法は術後疼痛が軽く,安全で,迅速な可動域回復が特別な後療法なしに獲得できる有用な治療法である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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