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誌上シンポジウム 胸椎後縦靱帯骨化症の治療―最近の進歩
レヴュー
著者: 馬場久敏1
所属機関: 1福井大学医学部器官制御医学講座整形外科学領域
ページ範囲:P.570 - P.571
文献購入ページに移動「胸椎部 後縦靱帯骨化症(OPLL myelopathy)」は言うまでもなく脊椎外科学分野では最も治療が困難な病態である.1970年代までは主として椎弓切除術が一般的であったが,1980年代に入り慶應義塾大学グループなどによって「前方除圧固定」の成績発表が行われだした.手術顕微鏡やsurgical airtomeの導入,脊髄モニタリングの併用によって手術成績も向上した.1980年代に入り「後方進入前方除圧術」(大塚訓喜 信州大学元助教授)が報告される一方,黄色靱帯骨化(OLF)合併例(OPLL・OLF合併例)という脊髄の菲薄度が極限に達した状態に対する直視下の「脊髄全周除圧術circumspinal decompression」が,富田勝郎助教授(現,金沢大学医学部附属病院長)によって初めて第16回日本脊椎外科研究会(1987年,東京)で報告され,1990年前後はそれらの2つの術式が斯界の大きな注目を集め,また多くの追試もなされた.筆者も数多くの富田勝郎教授の「脊髄全周除圧手術」の助手を務めさせていただき,その手技は教授の英文論文(Spine 15, 1990)に詳しく,その延長上に後述するdekyphosis stabilization(Kawahara N, et al. Spine 33, 2008)が生き続いている.
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