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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科43巻8号

2008年08月発行

文献概要

連載 小児の整形外科疾患をどう診るか?─実際にあった家族からの相談事例に答えて・16

上腕骨顆上骨折

著者: 亀ヶ谷真琴1

所属機関: 1千葉県こども病院整形外科

ページ範囲:P.800 - P.801

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上腕骨顆上骨折

 はじめまして.

 小学3年生9歳の息子の骨折についてご相談いたしたくメールをさせていただきました.

 息子は,先日遊びに出た先で自転車に乗っていて転倒してしまい,痛くて右腕が動かないと泣きながら帰って参りました.その日は水曜日でいつも受診させていただいている整形外科医院はお休み,翌日は祝日でした.仕方なく,まだ診察時間内だった近くの内科に事情を話し,右手肘周辺のレントゲンを撮ってもらいました.そこで写った写真では,骨折はしていないでしょうとの診断でした.それでも,肘が曲がらない,肘の少し上が痛いと本人は言い,その間にも二の腕の下部付近は少しずつ腫れてきたのですが,処方されたシップ剤を貼って,休日を過ごす間に痛みは和らいだようでした.3週ほど経って,まだ腕は90度程度しか曲がらないというので,さすがにおかしいと思い,整形外科医院を受診したところ,その場で先生に叱られました.整形の先生が撮ったレントゲンには,はっきり骨折の痕が写っていました.診断は,上腕骨顆上骨折でした.その上,既に3週間経っていたので,骨はつき始めており,肘の関節の一部分がほぼまっすぐの形でくっついてしまっていると言われました.もう手術をしなくては治らないので,大学病院に行きなさいと言われ,紹介状をいただき慌てて翌日に大学病院に行きました.

 しかし,大学病院の先生の診断では,現段階での手術はむしろ難しいとのことでした.子供の場合は,骨が正しい方向に成長していく可能性も捨てられないため,関節自体も固くなっている今はそのリハビリをしながら,今現在の骨折が治るのを待って,その骨の状態でできるだけ動くように訓練し,それでも日常生活に支障があるようならば,手術を考えますとのことでした.

 こういった子供の症状の場合,すぐに手術をしたほうがよいのでしょうか.それとも大学病院での診断のように,リハビリで様子を見たほうがよいのでしょうか.最初に骨折ではないと言われて安心してしまい,整形に行かなかったことがつくづく悔やまれてなりません.お忙しいところ大変恐縮ですが,一言でもお返事を頂けましたら幸いです.

参考文献

1)Gartland JJ:Management of supracondylar fractures of the humerus in children. Surg Gynecol Obstet 109:145-154, 1959
2)見目智紀,亀ヶ谷真琴,西須 孝・他:上腕骨顆上骨折の治療成績.日小整会誌 17:41-45,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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